98.病気の株を守るには(ベトナム植物防疫研究所の研究用網室完成)

2017年2月10日

プロジェクトでは、病気に感染した株、即ち「病株」を集めますが、これらは大切な遺伝資源として、相互感染しないよう保存する必要があります。その場合、媒介虫による感染が起こらないよう、害虫が侵入できない環境が必要になります。また、病株と健全株を接ぎ木して伝搬試験を行ったり、感染時期と病徴との関係を観るため、接種した植物を長期育成・観察したりする時も、やはりインセクトフリーな環境が必要で、それには隔離された網室空間が最適です(インキュベーターなども使えますが、日照、温度などが、なるべく自然で、キャッサバがスクスク育つ環境が望ましいのです。また、途上国では往々にして起こることですが、間に合わせの設備では、貴重な病株をきちんと管理することの重要性が伝わらず、いつの間にか廃棄されたり、管理不十分になったりすることがあります)。貴重な標本であり、学習用の見本株でもある病株の保全に万全を期すため、プロジェクトでは、ベトナムの植物防疫研究所に、14個の苗床を持つ網室を完成させました。今後の病害対策チームによる利用が楽しみです。

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完成したインセクトフリーな網室

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網室内部

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内部に作られたコンクリートの苗床

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完成を祝うヴィ博士(右から二人目)と鵜家研究員(右端)ら