2017年3月3日
日本は周囲を海に囲まれていますから、植物検疫上、有利な立地と思われますが、そんな日本の防疫先進地である、宮崎大学・産業動物防疫リサーチセンターのセンター長でさえ「輸入感染症の病原体を水際で阻止するのはもはや限界」と言います。しかも、その一方で、「しばらく何にも起こらないと、防疫にかかるお金も労力も無駄のように見える」ので、ひとびとの意識は薄れ、予算は削られ、後継人材も育たず、防疫は更に忍耐を要するものになります。何より大事なのは、口蹄疫と鳥インフルエンザのダブルパンチで大打撃を受けた宮崎のように、「安定した農業経営は、日常の衛生管理と防疫活動の上に成り立つ」という意識の組織的な徹底です。そんな宮崎の経験と教訓を胸に、プロジェクトは、CIATによる調査、本事業病害対策チームによるサンプル収集(No.81)、国連大学事業による画像診断とサンプル収集(No.85、No.93)、そして本事業病害対策チームによるサンプルの分子生物学的検査結果をもとに、カンボジア農業総局、タイ農業局、FAO、GIZなどの援助機関、NGO、それにアグリバディなど民間企業を集め、カンボジア国内の感染拡大が確認されたキャッサバ・モザイク・ウイルス病(CMD)への効果的対策を協議する緊急シンポジウムを開催しました。これにより、早急かつ実質的な防疫対策の必要性が確認され、広域案件としての本プロジェクトの使命が見事に果たせました。