2017年4月4日
今年は本プロジェクトのベトナムのカウンターパート機関の一つであるCIAT(No.96ご参照)の創設50周年、ベトナムにおける活動歴40周年の記念の年ですが、実はこの歳月の間、CIATとアジアのキャッサバをつないだのは河野和男さんという日本人の研究者なのです(No.53ご参照)。その河野さんがこんなことを言っています。「インドネシアで普及したマラン2号というキャッサバ品種は、政府機関が全く知らないうちに生産者間で数千haの規模に作付面積が拡大し、農家の俗称が品種名として定着した。政府は、大慌てで、いかにもお役所らしい名前を付け、奨励品種に登録したが、農家はそんなこととはつゆ知らず。でも、こんな支離滅裂な方法でも、全てを制御しようとするより良い結果をもたらすことが多い」。長年、現地の農家の人々とともに考え悩んだ河野さんならではの言葉なのでしょう。河野さんはこうも言っています。「CIATのキャッサバ育種の最初の10年は、外に見える成果は何もなかった。だが、現在の成果はその10年の積み上げがなければあり得なかった」。つまり20年以上かけないと成果の出ない仕事もあるということなのでしょう。