142.ウイルス研究のためのキャッサバ植物体を入手@東京大学

2017年6月7日

プロジェクトでは、カンボジアでウイルスに感染した植物(感染植物)を正規の検疫手続きを経て日本に持ち帰りましたが、これは、実験に使ううち、やがて無くなってしまいます。また、新たに感染植物を採取して持ち帰っても、そこにいるウイルスが前のものと同一である保証はありません。もちろん、感染植物を生きながらえさせ、接ぎ木など栄養繁殖の方法でウイルスを維持することは可能ですが、そのようなウイルスは少しずつ変異を起こし、やがて昆虫によって媒介される能力を失うなど、元のウイルスと変わってしまうことが知られています。そこで、元のウイルスを完全な形で保存するために、感染植物からウイルスのDNAを抽出し、それを試験管の中で切り貼りして、「植物の細胞に入れると、もとのウイルスを作り出す特殊なDNA」を構築する方法がとられます。これは「感染性クローン」と呼ばれ、半永久的に保存することができ、かつ、いつでもオリジナルのウイルスと完全に同一のウイルスを作ることができるため、とても有用です。本プロジェクトでは、東京大学の鵜家研究員が、カンボジアのウイルスの感染性クローンの作成に成功しました。さて、このクローンが本当にキャッサバ植物に感染するかどうか調べなくてはいけませんが、日本では沖縄の一部を除きキャッサバは栽培されていません。そこで、本プロジェクトの日本側研究機関の一つでもある理化学研究所から、大変貴重なキャッサバ植物体を分与して頂きました。この場をお借りして御礼申し上げます!

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理化学研究所から分与されたキャッサバ植物体を持つ東京大学の宇垣先生(左)と鵜家研究員