151.トリプルウィンは伊達じゃない!(ベトナム・ドンナイ省のエタノール工場を訪問)

2017年6月20日

ベトナムのバイオ燃料政策は、原料であるキャッサバの値を押し上げ、生産農家を潤わせるかもしれませんが、それが国の経済を利するかどうかは別問題です。というのも、ドンナイ省にあるエタノール工場トゥンラム社(日量500トンものキャッサバを原料にエタノールを製造)によると、国内に7つ建設されたエタノール工場のうち6つは、2015年までのキャッサバ価格の急騰で、既に操業停止の憂き目に遭っているといいます。もし、トゥンラム1社で需要を満たせない場合、ガソリン小売業界はエタノールを輸入⇒安いエタノールが流入⇒トゥンラム社は太刀打ちできない⇒また一つ倒産企業が増える、ということになります。同じことはデンプン業界にも言えます。原料価格が上がり過ぎれば経営が成り立ちませんし、昨年のように下がり過ぎれば農家は生産をやめ、稼働出来ません。つまり、加工業者と農家は「運命共同体」、共に生きるしか他に道はありません。かくして、本プロジェクトが目指す官民農の「トリプルウィン」は単なるお題目ではなくなります。

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国内で唯一生き残ったエタノール製造会社トゥンラム社にて情報収集する井芹調整員(左)とホアット植物防疫研究所副所長