198.ナノの決死圏!その2(ベトナム・ウイルス病対策緊急ワークショップ)

2017年8月23日

ラテン語の「毒」を語源とするウイルスは、細胞を持たず、タンパク質の殻の中に核酸(DNA/RNA)を詰めただけの単純構造で、大きさの単位は百万分の1ミリ(ナノ)です。このナノの世界の住人との戦いは、ベトナムでは、ウイルス検出(No.160)に始まり、続いて夏秋先生らのタイニン省調査の結果、発生が数%ではなく数十%レベルと判明したことを受け、更に本格化し、周辺省の植物防疫担当官を集めた緊急ワークショップがノンラム大学で開催されました。感染株の抜き取り・焼却処分は不可避ですが、国内トップのキャッサバ生産地タイニン省は、灌漑設備にお金をかけている分、生産コストが高く、補償金ではペイしないため、処分作業は難航が予想されます。媒介虫を恐れるあまり農家が殺虫剤に飛びつき、無秩序にまき散らすことも考えられます(ヒアリ騒ぎの日本で殺虫剤が飛ぶように売れたのと同じです)。健全種苗の理解が広がるのは有り難いものの、供給量が足りないのは目に見えており、省内行政機関の力を総動員した取り組みが求められます。などなど、問題は山積みですが、ベトナムはこれよりこのナノの決死圏に突入します!

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ワークショップを企画した植物防疫研究所のホアット副所長

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ドンナイ省の植物防疫副局の次長

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ワークショップを企画したノンラム大学のウイルス媒介虫研究者ホアンさん

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生物的防除方法を発表するタイ・ラヨーン畑作物研究センターのシリラクさん

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ウイルス媒介虫の天敵の研究進捗について発表するノンラム大学のダットさん