215.ナノの決死圏!その4(ベトナム・東南部タイニン省で実施されたウイルス病対策ワークショップで知見共有)

2017年9月21日

モザイクウイルス病が検出されたベトナム南東部タイニン省は、国内随一のキャッサバ生産量を誇りますが、その秘密は人造ダム・ザウティエン湖を水源とする灌漑設備にあります。もちろん、その分、生産コストは余計にかかりますが、単位面積当たりの収量が上がることで、1ha当り1,300ドルを超える利益を生むことが出来ていたのです(南部や中央高原は850ドル、北部は300ドル以下)。ところが、モザイクウイルスに感染した際の、抜き取り焼却処分に対する政府の補償金は1ha当り200ドルに過ぎません。それで全くペイしない農家は補償金受け取りを逡巡し、感染源のいくつかは放置されたままのところもあります。ところで、タイニン省の状況が緊迫しているのには、もう一つ理由があります。灌漑のおかげで、他とは全く違う作付け体系が可能になり、ベトナムのほとんどの地域の収穫が1〜3月なのに対し、タイニン省の収穫は、まさに今、9〜10月なのです。かくして必死の形相の農家と植物防疫局とのせめぎ合いが、大きな緊張をはらんで続く中、タイニン省政府主催の緊急ワークショップが開催され、プロジェクトからも現時点の知見を共有しました。

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ワークショップで本プロジェクトの知見を共有する植物防疫研究所のホアット副所長