238.ハチの世界の「イチかバチか!」(ベトナム・ノンラム大でキャッサバ害虫の大量飼育試験つづく)

2017年11月15日

キャッサバの重要害虫カイガラムシの天敵である「寄生蜂」(No.9、No.10)は、カイガラムシに卵を産み付けるとき、そのカイガラムシが寄生を受けていないかどうか、果たして分かるのでしょうか?答えはイエス。寄生蜂は、既に同種に寄生された寄主と、寄生されていない寄主(これを「健全寄主」と言いますッ!)を識別できるのです。どうやっているかというと、ハチは自分が卵を産みつけたカイガラムシに、ご丁寧に「マーキングフェロモン」という化学物質を塗りたくり、他のハチはこれを触覚で検知するのです。でも、周りに適当なカイガラムシがいない場合は、ハチは、あてもなく寄主を探して徒労に終わるよりはと、既に産みつけられた卵を殺して自分のを産みつけたり、または、自分の子が生存競争に勝つことを信じ、「イチかバチか(洒落ではありません!)」そのままそこに産みつけたりもするらしいのです。いやはや、ハチの世界も大変です。

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コナカイガラムシ(下)に卵を産みつける寄生蜂(©TTDI)

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キャッサバの葉の裏にいるコナカイガラムシ

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コナカイガラムシの生育を見守るノンラム大学の学生

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保温期の中で育てられるコナカイガラムシ

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実験室内のキャッサバ苗で育てられるコナカイガラムシ