247.目には目を、蚊には蚊を!(カンボジア・キャッサバ生産普及センターで天敵放飼)

2017年11月29日

米環境保護局は今月、ジカウイルス感染症(ジカ熱)を媒介する蚊を駆除すべく、人工的に細菌感染させた蚊を「生物農薬」として自然界に放つことを承認しました。これは本プロジェクトでも実施する「生物的防除」の一つで、民間のバイオベンチャー企業が開発し、全米20州の一般家庭、ゴルフ場、ホテルなどで5年間の販売が認められました。「生物農薬」で有名なのは、古くから養蚕家に知られていた、カイコを殺す細菌(BT)がありますが、今回のはボルバキアという細菌で、これをオスのヒトスジシマカに感染させて放ち、メスと交尾させると、メスは卵を産みますが、卵は染色体の異常で孵化せず、個体数の抑制につながるのだそうです(完全に撲滅されるわけではないので、生態系への影響はほとんどないとのこと)。その上で、ボルバキアはヒトには感染しませんし、化学農薬のように蜂や蝶など他の昆虫を殺す心配もありませんから、期待はかなり大きいようです。本プロジェクトの生物的防除は、よりシンプルに、ターゲットとする害虫を捕食したり寄生したりする天敵昆虫の放飼を行います。そして今般、カンボジアの原種生産基地であるキャッサバ生産普及センターの網室で、ハダニの量が増えたため、この個体数を減らすべく、天敵であるリュウグウヒメテントウを放飼しました。

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ハダニを捕食するリュウグウヒメテントウ(Nephus ryuguus)

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天敵のヒメテントウは隣国のタイから購入

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網室内に天敵を放飼