災害経験の伝承「ハリケーン・ミッチ20周年会合」の開催

2018年10月31日

2018年10月31日、ハリケーン・ミッチ被災後の20周年追悼にあたることから、災害経験の伝承と今後の災害に対する脆弱性への対応を目的に、中米防災センター(CEPREDENAC)主催のもと、中米諸国の防災機関長や地方自治体首長、ドナー(JICA、UNISDR、GIZ、USAID、ECHO、世界銀行等)が集い、ホンジュラスの首都テグシガルパにてハリケーン・ミッチ20周年会合が開催されました。

20年の学びを忘れないために

1998年10月下旬、非常に大きなハリケーン・ミッチが中米諸国を襲い、甚大な被害をもたらしました。二度とこのような被害を繰り返さぬよう各国は防災対策に取り組み、JICAも支援を行ってきました。

CEPREDENAC会長代行は、ハリケーン・ミッチ被災後の20年間、中米諸国は自然災害予防・軽減や緊急対応のための仕組みを整えてきたこと、そして災害リスク軽減の支援を行ってきた日本を含めたドナーに感謝の意を述べられました。福田紀夫駐ホンジュラス日本大使からは、災害大国である日本は、ミッチによる中米諸国の被災については顧みることが多々あると触れられた上で、自然災害と向き合うためには防災文化をもつことが重要であることを強調されました。

中米各国の防災機関長や地方自治体首長によるセッションでは、JICA「中米広域防災能力向上プロジェクトフェーズ2(以下、BOSAI2)」の関係者が多く登壇し、JICAのこれまでの支援に感謝する発言が述べられました。ドナーセッションでは、JICA地球環境部防災グループ後藤課長より、防災計画とこれに基づく防災への事前投資の重要性、仙台防災枠組への取り組み強化の必要性を説明し、他ドナー登壇者も発言を引用するなど、レスポンス(緊急対応)だけでなく、防災への事前投資(減災)こそ重要である点を共有しました。

被災地での防災啓発活動

ミッチ20周年会合の前日、ホンジュラスの防災機関COPECO(災害対策常設委員会)主催の下、被災地であったべリンチェの丘において防災啓発活動(レスキュー訓練、中学生の防災学習)が実施され、JICAもBOSAI2プロジェクト活動のブース展示を行いました。

イベントには、1,300人の中学生を中心に、地域住民・企業・防災関連機関が来場し、JICA長期専門家・カウンターパート機関による各国のBOSAI2の活動説明を行い、防災啓発に貢献しました。

中米諸国一体となったJICA技術協力事業による防災能力の強化

ミッチ20周年会合に中米各国の防災機関長が参集する機会を活用し、BOSAI2プロジェクトの定期会合(広域合同調整委員会(JCC))を実施しました。BOSAI2プロジェクトを実施する中米6か国(コスタリカ、エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス、ニカラグア、パナマ)の防災機関長、各国で活動しているJICA専門家が一堂に会し、プロジェクトの質向上のための議論が行われました。また、各国の防災機関による事業活動報告が行われ、エルサルバドル市民防災局長からは、「コミュニティ防災の普及体制の基礎ができたことは素晴らしい」とコメントがあり、中米6か国の防災機関が相互の連携を図り防災に取り組む、本事業の強みの醸成を図ることができました。

中米における将来の災害被害を軽減するため、JICAは中米各国の防災機関とともに、引き続き活動を続けてまいります。

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ハリケーン・ミッチ20周年会合(ドナーセッション)

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ハリケーン・ミッチ被災地での防災啓発活動

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BOSAI2プロジェクトの定期会合