日本のファブラボを知ってもらう-「オンライン・ミートアップ」シリーズを実施

2021年12月29日

現在ブータンで実施中の技術協力プロジェクト「デジタルものづくり工房(ファブラボ)による技術教育・普及促進プロジェクト」では、今年度当初、ブータン側カウンターパートであるブータン王立大学科学技術単科大学(CST)関係者を日本に招聘し、全国各地のファブラボを訪問し、各々の施設の取組みとその利用者によるプロトタイプ製作の事例を知ってもらう計画を立てていました。しかし、新型コロナウイルス感染拡大を受けて、JICAでは日本での技術研修員受入れを凍結したため、このカウンターパート研修の2021年度実施は見送らざるを得ませんでした。

これを受けて、プロジェクトでは、本邦研修に代わるネットワーキング促進の取組みとして、8月より6回にわたるオンライン・ミートアップセッションを企画し、第1回は各回日本のファブラボ関係者2人にご登場いただき、CST関係者を含む、ブータンのファブラボ関係者に、日本のファブラボとのネットワーク促進機会を提供することにしました。

8月9日の第1回ミートアップでは、日本におけるファブラボ普及活動の提唱者でもある慶應義塾大学SFCの田中浩也教授に、日本のファブラボの成り立ち・特徴・地域性についてお話しいただいた後、国内14施設がリレー方式で各ファブ施設の事業内容や利用者の作品の簡単な紹介を行いました。

これに続き、第2回以降は、各回2つのファブ施設にご登壇いただき、その設立の経緯や目的、利用者、運営体制、地域コミュニティへのアウトリーチ活動や地域で果たす役割などについて、くわしくお話しいただきました。登壇していただいた国内ファブ施設は以下の通りです。

第2回(9月6日):ファブラボ鎌倉、ファブラボ品川
第3回(10月4日):ファブラボみなとみらい(神奈川大学)、ファブラボ長野(信州大学)
第4回(11月1日):ファブラボ仙台、京都芸術大学ウルトラファクトリー
第5回(11月29日):ファブラボ佐賀、ファブラボ大分
第6回(12月27日):FabCafe Kyoto、京都産業大学ファブスペース

オンライン・ミートアップは、Zoomのウェビナー機能を利用して行われ、CST関係者やプロジェクト関係者からは、チャットボックス経由で、運営ルールやスタッフの確保、収支構造や収入創出活動と公益事業とのバランスなど、さまざまな質問が寄せられ、毎回活発なやり取りが繰り返されました。

現在、日本国内には、ファブラボ・ジャパンネットワークに登録されているファブラボ20施設を含め、中小のメイカースペースが全国に132施設あるといわれています(fabcross「日本のファブ施設調査2021」より)。とてもすべてを紹介することはできませんでしたが、ブータンの社会経済状況をかんがみ、同国でのものづくりの促進に役立ちそうなファブ施設にご協力いただき、ここまでやってまいりました。ご協力下さった日本のファブラボ関係者の方々に、この場を借りて御礼申し上げたいと思います。

2022年7月には、第17回世界ファブラボ会議(FAB17)がブータンで開催される予定です。ミートアップはオンラインで実施されましたが、FAB17では、日本から多くのメイカーがブータンにお越しになり、ブータンや世界中のメイカーと交流を深められるとともに、ブータンの開発課題の解決に向けた取組みに、多くの助言をいただけることを、楽しみにしております。

なお、これまでのミートアップの模様は、JICA YouTubeチャンネル「ICT and Development」でご視聴いただけます。

関連リンク(英語)(外部サイト:YouTube)

【画像】田中浩也教授による基調講義(第1回)

【画像】CSTチェキ・ドルジ学長による新ファブラボの紹介(第1回)

【画像】京都産業大学伊藤慎一郎先生による「デジタルファブリケーション」カリキュラムの説明(第6回)