MESHブロックを用いて学生向けIoT講習会を開催

2022年5月9日

私たちのプロジェクトの成果の4つめには、「CSTのファブラボが、個人/市民および学校が自身のニーズに取り組み、スキルを高め、社会・経済的問題対処のためにカスタマイズされた製品を開発するためのオープンイノベーションのプラットフォームを提供する」と書かれています。その中でも地域の小中高校は、「ファブラボCST」の将来の利用者の拡大にもつながる最も重要なステークホルダーの1つと位置付けられており、「教職員と学生が科学技術の実演・実験のために学校を招待する、アウトリーチプログラムを開発する」ことがプロジェクトの活動の1つとして明記されています。

4月末にCSTに着任した山田浩司長期専門家と大野勉短期専門家は、その第一歩として、CST学生向けにさまざまな講習会を開催することを考えました。地域の小中学校にアウトリーチするには、プロジェクトチームとともにそのプログラム実施をサポートしてくれる学生ボランティアの存在が必要不可欠と考えたからです。

両専門家は、各々がブータン赴任時にさまざまなデバイスを携行してきました。中でも二人がそろって携行したのが、ソニーが開発したIoTブロック『MESHブロック』でした。

MESHは、ボタン、LED、動き、人感、明るさ、温度・湿度、GPIOといった7つのセンサーと入出力デバイスが、同じ形状のブロックとなっており、これらを組み合わせて、PCやタブレット、スマホでダウンロード可能な専用アプリからプログラミングすることで、さまざまな仕組みを作ることができます。かといって、プログラミング言語を必要としていないので、小学生であってもIoTのメカニズムを学ぶことができます。

両専門家は、『MESHブロック』を地域の学校へのアウトリーチ活動でも使えるエントリー教材と位置付け、5月8日(日)から、学生向けに、2時間30分のMESHブロックを用いたIoT講習会を開始しました。

この日の講習会は、日曜日にも関わらず、10人の定員に対して34人の応募があり、両専門家は急遽、同日午後、及び平日夕方も利用して残る24人も受講できるよう調整しました。受講希望の学生は2年生と3年生が中心で、中にはプログラミング言語を勉強していない学生もいましたが、MESHブロックの操作にはすぐに慣れることができました。

講習会後半は工場の生産ラインを事例として取り上げ、製品の流れをセンサーでモニタリングし、問題をすぐに検知するシステムや、その結果を遠隔地でも監視できるシステムなどを各グループに検討してもらい、お互いにプレゼンしてもらいました。

MESHブロックは、思いついたアイデアをすぐに試してみるのに有効な教材であることが確認できました。今回は学生向けに基本操作に重点を置いて講習会を行いましたが、今後は、街の子どもや地元産業界向けにも活用できるよう可能性を探っていきたいと、私たちのプロジェクトでは考えています。

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タブレットPCでもレシピ作成可能(写真/山田浩司)

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生産ラインでのIoT導入ケースを検討する参加学生(写真/山田浩司)

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チェキ・ドルジ学長も講習会をご見学(写真/山田浩司)

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ラップトップPCでもレシピ作成ができます(写真/山田浩司)

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工場の生産ラインへのIoT導入課題について説明する大野専門家(写真/山田浩司)

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思いついたアイデアは紙に描き出してみる(写真/山田浩司)