カウンターパート、メイカーフェア東京にデビュー

2022年9月5日

「メイカーフェア東京(Maker Faire Tokyo)」は、毎年夏に東京ビッグサイトで開催される、DIY(自分でものづくりをする)の展示発表会です。今では誰でもが使えるようになるまでに普及してきた新しいテクノロジーを、ユニークな発想で使いこなし、楽器やアクセサリー、玩具や乗り物、課題解決を意図した作品など、さまざまな物を作り出すものづくり愛好家が集まり、作品の展示やデモを行いつつ、参加者同士の交流も行われます。また、国内各地のファブラボによる展示なども行われます。

今年のメイカーフェア東京は、私たちのプロジェクトのカウンターパートの日本研修と時期が重なり、9月3、4日の週末に開催されることになっていました。そこで、私たちは、研修の計画段階において、せっかくだから、会場見学だけではなく、実際の展示ブースの出店や、ステージイベントにも申し込んでみようと考えました。目新しさも手伝ってか、どちらの申込みも受理されました。

8月28日にブータンを出発した日本研修の参加メンバーは、王立ブータン大学科学技術単科大学(CST)の教職員6名と、プンツォリン市役所、ブータン工業会から推薦された2名の、合計8名です。この研修では、日本国内4ヵ所のファブラボやファブ施設を訪問し、9月14日に帰国することになっています。

9月3日(土)、メイカーフェア東京の会場に到着した研修員は、短期専門家としてCSTを訪問してきた日本側関係者の協力も得て、展示ブースを設営。ブースでは大学や学生生活、CSTの学生が最近生み出してきたさまざまな試作品を紹介する動画が繰り返し再生されるほか、CSTからファブ・アカデミーを受講した修了生による作品の展示も行われました。展示ブースを拠点としつつ、研修員はメイカーフェアの会場を散策し、日本のものづくり愛好家が生み出したさまざまな作品にふれて、その作品に込められた思いや製作プロセスを、出展者から訊いて回りました。

メイカーフェア初日の彼らにとってのクライマックスは、午後に行われたステージイベントでした。訪問団の代表として、タシ研究担当副学長が、CSTの紹介と誕生したばかりのファブラボCSTの紹介を行いました。北見工業大学への留学経験のあるタシ副学長は、ときおり日本語も織り交ぜ、これまでのJICAの支援と、ファブラボCSTのスタッフの顔ぶれなどにもふれ、2023年8月の第18回世界ファブラボ担当者会議(FAB18)はブータンで開催されるので、その時はぜひプンツォリンのファブラボCSTにも足を運んでほしいと要望し、20分間の発表を締めくくりました。

この模様は、主催者によるライブ配信が行われ、ブータン側でも、ファブラボCSTで午後のハンズオン研修を受講予定だった教職員10名とインストラクターが上映会で視聴したほか、広くURLが周知され、多くの学生と教職員が視聴しました。

ファブラボCSTの利用者が作ったものを披露し、その知見を広く共有できる場をプンツォリンに作っていくことは、ものづくりの文化をこの地で根付かせていくカギともいえるでしょう。プンツォリンにおいて小規模なメイカーフェアを年次開催していくことが、プロジェクトの今後の活動計画の中でもふれられています。東京会場の熱気を肌で体験してきた研修員が、その計画を主導していってくれることを期待したいと思います。

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メイカーフェア会場入り口に勢ぞろいした研修員(写真/Tashi)

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メイカーフェア会場内の様子(写真/Tashi)

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CST展示ブース(写真/Tashi)

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隣りの展示ブースだったファブラボ鎌倉の方々との合同撮影(写真/Tashi)

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他の出展者から聞き取りを行う研修員(写真/竹村真郷)

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ステージイベントのライブ配信(写真/山田浩司)

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ステージイベントのライブ配信を視聴するCST教職員(写真/山田浩司)