ファブラボを活用した初めてのオープンイノベーションイベント「メイカソン」を開催

2022年10月25日

開所から1ヵ月あまりが経過したファブラボCSTでは、プロジェクトの活動の1つでもある「オープンイノベーション」の推進の一環として、10月1日から22日にかけて科学技術短期大学(CST)で開催されたものづくり共創デザインマラソン「メイカソン」の開催に協力しました。

このメイカソンは、CST構内にオフィスを構えるCSTテックインキュベーションセンターが、ハードウェアのビジネスアイデアコンテストとして企画したものです。同センターから開催について相談を受けたのはファブラボCST開所式直前で、まだ施設を利用してものづくりをはじめる学生もいなかったことから、メイカソン開催は時期尚早ではないかとの声もありました。しかし、発足したばかりのファブラボから共創デザインを通じた初めての試作品を生み出すよい機会ととらえ、協力に踏み切ったのです。

メイカソンは4回の週末にまたがる長期戦でした。10月1日(土)には開催趣旨説明が行われ、応募者にはファブラボ見学の機会が与えられました。この時点では、参加者は16のチームに振り分けられました。翌週8日(土)は、当プロジェクトの専門家チームの1人である渡辺智暁専門家による講演の後、CST教員の指導の下で各チームのアイデアピッチが行われ、その内容をもとに、8チームへの再編成が行われました。続いて、午後になると、各チームから2名の代表を集め、ファブラボCSTにおいて、山田浩司専門家が主にレーザー加工機と3Dプリンターについて機械操作の実技研修を行いました。

さらに、15日(土)午後には、再びファブラボCSTを会場に、山田専門家が、CorelDRAWを用いた2Dデザイン、Fusion360を用いた3Dデザインの基本研修を主催しました。

これらを踏まえ、翌週は週明けから参加チームのメンバーがファブラボを入れ代わり立ち代わり訪れ、出展作品の試作を開始しました。学生が授業や実習から解放されるのは毎日午後4時過ぎで、彼らは夕方からファブラボに続々と集まり、作業は深夜にまで及びました。本選会当日が近づくにつれ、ファブラボを訪れる参加チームと学生の数は増えていきました。3台しかない3Dプリンターは複数チームによる奪い合いの様相を呈し、夜を徹して稼働し続けました。

応募した参加者約70人のほとんどはCSTの学生で占められましたが、「オープン」なイベントと謳っている以上、グループ分けは主催者が進め、各グループに必ず電気通信、電気工学、IT、土木工学、建築といった異なる学科の学生がいるよう工夫しました。また、応募者の中には、CSTの教員やチュカ県庁の経済開発担当官、ゲドゥの起業家などの姿もあり、機械操作や試作プロセスは学生メンバーに委ねたものの、試作品のアイデア出しやデザイン、発表資料作成などの工程では、ウェブ会議による意見交換が何度か行われたそうです。

こうして迎えた本選会当日-。10月22日(土)は、4人の審査員を前に、8チームがそれぞれの試作品をもとに、ビジネスアイデアのプレゼンを行いました。「持ち運び可能な洗濯機」「自動給水機能付き植木鉢」「不安やストレスを解消させるミニチュア玩具」「ごみ自動分別機」「ごみ圧縮機」「導水管水位監視システム」「加熱機能付き水筒」「子ども用寸法計測器」が提案されました。レーザー加工機と3Dプリンターを使用した試作品が多かった中、果敢にもテーブルソーやジグソー、ベルトサンダーといった木材加工用器具に挑戦したチームもありました。

主催者の性格上、ビジネスモデルや市場性、収益性なども評価項目に含まれており、必ずしも試作そのものに重点が置かれたプレゼンではありませんでした。しかし、「ファブラボCSTから最初の共創デザイン作品を生む」という私たちの目論見は、十分達成できたといえるでしょう。彼らの作品は、今後ファブラボCSTに展示され、未完成の作品は完成させるようチームへの働きかけが続けられます。

主催者も参加者も初めてだったメイカソン。この経験を、次のオープンイノベーションイベントの設計に生かすとともに、参加者もよりユニークで質の高い作品を共創していってくれるよう期待したいと思います。

【関連リンク】

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メイカソン開始初日の説明会(写真/Damcho Choden)

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グループワークが行いにくい場所でのアイデア出し(写真/Damcho Choden)

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渡辺智暁専門家によるオープンイノベーション基調講義

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10月15日の3Dデザイン研修(写真/山田浩司)

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本選会直前、夜間も作業に取り組む参加者(写真/山田浩司)

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夜間作業は深夜まで及んだ(写真/山田浩司)

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本選会でのプレゼン。審査員にごみ自動分別機を説明(写真/山田浩司)

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子ども用寸法計測器を説明するチーム(写真/CST Multimedia Club)

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8チームの出展作品(写真/山田浩司)

【画像】本選会参加者全員による集合写真(写真/CST Multimedia Club)