利用者と利用者が出会う場づくりに着手

2022年11月8日

10月の大きな目玉行事として「メイカソン」が終了し、開所後2カ月間続けてきた学生・教職員向けオリエンテーションもひと段落した10月下旬、ファブラボCSTでは、次なる重点活動として、これまで獲得してきた利用者が他の利用者と出会う「場」を作ることに着手しました。

ともに教え合い、学び合うことは、「ファブラボ憲章(The Fab Charter)」にも謳われている、ファブラボのグローバルネットワークにおける共通理念です。これまでにも、プロジェクトでは、メイカソン参加者のグループ分けを主催者側で行い、異なる学科の学生同士がチームを組むよう促したり、機械操作研修では先に操作を習得した利用者に新しい受講者への指導を依頼したり、その都度お互いに教え合い、学び合いが起きるよう工夫してきました。

また、ファブラボCSTのホームページにも「プロジェクトギャラリー」というページを設け、ファブラボの工作機械や施設を利用して具体的に製作された作品の、製作プロセスや設計データの「見える化」も進めてきました。これにより、どの利用者がその作品を作ったのかわかるようにし、同様の作品の製作を検討している別の利用者がそれを参考にできるようになりました。

そして、メイカソン後はこれらの取組みをさらに進め、毎週土曜日に、1時間の対面型トークイベント「ファブラボCSTユーザーズフォーラム」を開催することにしました。

これは、ファブラボの利用者が集まり、特定の利用者の作品製作にまつわるストーリーに耳を傾けることで、どの利用者どの機械の操作をよく知っていて、どんな作品を製作できるのかを知るきっかけを作ることを期待して行うものです。この枠組みは、別の用務で科学技術単科大学(CST)やプンツォリンに立ち寄った各界の有識者などのお話を聴いて、利用者が今後の作品のアイデアや製作のヒントを得るといった目的でも開催することができます。

話者には20~30分間で話題提供をいただき、その後、参加者が質問します。この超短時間トークイベントは、セミナー形式ではなく、テーブルを撤去して椅子だけを扇形に配置して、車座となって行うよう会場もアレンジします。

第1回フォーラムは10月29日(土)に開かれ、10月半ばにスイス・ジュネーブで開催された国際ロボット五輪「FIRST Global Challenge」に出場したブータンチームに、メンターとして同行した、CSTのIT学科4年生R君を招き、ロボット五輪の模様について紹介してもらいました。R君は、昨年のパンデミック期間中、私たちのプロジェクトがティンプーで主宰していた3Dデザイン研修や、ファブラボ・マンダラでの機械操作研修などを積極的に受講していたCST学生の1人です。

11月5日(土)の第2回フォーラムでは、10月24日(月)に学内で開催された「ディワリ祭」の祭壇製作のため、前週のほとんどの時間を祭壇のデザインデータ作成とファブラボCSTでの大型CNC切削加工機「ShopBot」の操作に費やし、知識ゼロの状態から見事に祭壇を完成させた、計装・制御工学科3年生のM君とK君に、その製作体験をお話しいただきました。ファブラボCSTで、現在ShopBotを操作できる利用者は非常に少なく、彼らの経験は他の利用者にも役に立つ、私たちのファブラボにとっても貴重な財産となってゆくことでしょう。

こうした利用者間の出会いがきっかけとなり、新たな相互学習や共創デザインが生まれていくことを願い、プロジェクトではこれからもフォーラムの定期開催を続けてゆきたいと思います。

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第1回フォーラムの様子(写真/Leki Tshering)

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フォーラムの後は、メイカソン参加チームの試作品展示を見学する利用者も(写真/山田浩司)

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第2回フォーラムで大型CNCマシンの説明をする学生(写真/山田浩司)

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実際に大型CNC切削加工機の操作を学ぶ2人の学生(写真/山田浩司)

【画像】第2回フォーラム参加者による集合写真。学長も出席(写真/Tenzin Dorji)