学内のラボの問題解決にファブを活用しよう-「アイデアソン」初開催

2022年12月1日

11月下旬、オープンイノベーションのリソースパーソンとして、渡辺智暁短期専門家が着任しました。これを機に、プロジェクトでは、今後のオープンイノベーションにつながる外部の潜在的利用者向けのオリエンテーション実施に加え、学内でのオープンイノベーション促進のためのイベント「アイデアソン」の開催を計画しました。

アイデアソンとは、異なる背景を持つ人々が集まり、新たなアイデアを創り出したり、ビジネスモデルを構築したりすることを目的に、短時間のグループディスカッションなどを通じて、アイデアをブラッシュアップしていくイベントです。

プロジェクトでは、これを科学技術単科大学(CST)学内にあるラボの専属技師と学生が参加する1日イベントとして企画し、「ラボのためのファブ(Fab for the Lab)」と銘打ったアイデアソンを、11月28日(月)にファブラボCSTにおいて主催しました。CSTの5学科に属するラボの専属技師17人と、期末試験を終えたあとも別のプログラムへの参加のために学内に残っていた学生15人が参加しました。

アイデアソンに先立ち、渡辺専門家は、11月23日(水)に5つのラボを個別訪問し、それぞれのラボにおける専属技師のファブラボに関する認知度を確認し、彼らの抱える問題点についてヒアリングを行いました。その際、アイデアソン当日には、各ラボより最低2つの課題をピッチするよう要請しました。

アイデアソン当日朝は、冒頭、小暮陽一専門家がオンラインで登壇し、「日本におけるカイゼンと生産性向上活動」と題した話題提供を行いました。それを踏まえて、午前の部では「課題ピッチ」が行われ、5つのラボに加えてファブラボCSTからも、それぞれのラボが抱える課題を訴える機会が設けられました。6つのラボから出された課題は16項目にも及びました。その中から、全参加者34人の無記名投票により、優先取組み課題として、「ゾンカ語キーボード」「コード・検査器具類整理」「壁時計」が選ばれました。

昼食をはさんで午後の部では、3つの優先課題に対して6つのグループに分かれ、解決策の検討を行ってもらいました。各グループにはその課題をピッチしたラボの専属技師が必ず入り、それ以外の参加者は主催者側で配分を行いました。なるべく、同じ学科の技師や学生で固まらないよう、グループ分けでは注意しました。

2時間の検討を経て、午後最後のセッション「アイデアピッチ」では、各グループから、その課題をどのようなアプローチで解決するか、その際、ファブラボや他のラボの設置機材をどのように組み合わせて活用するか、発表してもらいました。

主催者側で期待していた通り、同じ課題であっても2つのグループから提案されたアイデアはまったく違いました。また、中には、午前中の「課題ピッチ」で挙がっていた他の課題も取り込むという、意欲的な提案もありました。

6グループから出されたアイデアについて、再び全員の無記名投票が行われ、最も秀逸なアイデアとして、「3Dプリントによるゾンカ語キーボードキーの複製」が選ばれました。この取組みに必要な材料費はプロジェクトより支弁することとし、さらにチームのメンバーに対しては、ファブラボCSTの機械使用料及び材料費を免除するとの特典を付与することとしました。

さらに、これを1日限りのイベントとして終わらせることなく、意欲のまだ高いうちに次の行動に移してもらうため、プロジェクトでは、「ゾンカ語キーボード」に加え、「課題ピッチ」で挙げられた他の3つの課題についてもIT学科、電気工学科のラボ専属技師に働きかけ、12月からファブラボCSTでインターン実習を開始した学生とともに、課題解決を進めようとしています。

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イグナイトトークでは小暮専門家が「カイゼン」を講義(写真/山田浩司)

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IT学科ラボ専属技師による課題ピッチ(写真/山田浩司)

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コード・検査器具類整理の課題に取り組むチーム(写真/山田浩司)

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壁時計の課題に取り組むチーム(写真/山田浩司)

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壁時計の課題に取り組む別のチーム(写真/山田浩司)

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ゾンカ語キーボードに関するアイデアピッチ(写真/山田浩司)

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壁時計に関するアイデアピッチ(写真/山田浩司)

【画像】全参加者による集合写真(写真/山田浩司)