オーストリア国グラーツ(第1回)、イタリア国フィレンツェ/ボローニャ(第2回)にて、第三国研修を実施しました。

2022年6月21日

2021年10月17~23日にオーストリア国グラーツ、2022年3月20~25日にイタリア国フィレンツェとボローニャ、それぞれ約1週間の行程で第三国研修を実施し、サラエボ県交通省、サラエボ公共交通公社(GRAS)、開発計画研究所、サラエボ大学から7名が参加しました。

バルカン地域の公共交通分野の技術協力においては、日本の知見や経験に基づく協力に加えて、近隣の同規模の都市を有する国での知見を学ぶことも大変重要です。そのため、本プロジェクトでは、他国の事例を学ぶ機会として、計4回の第三国研修を予定しています。

オーストリア国グラーツ(第1回第三国研修)では、市役所、州運輸協会、連邦鉄道会社、私鉄会社、公営交通事業者(Holding Graz)等を訪問しました。公共交通機関の利用率向上、都市のモビリティ向上、環境にやさしい交通手段(E-car、自転車など)の利用について、グラーツ市職員による説明を受けながら、モーダルシフトを進めるうえでの課題、進行中のプロジェクト、将来のプロジェクト、両都市の都市交通分野での共通課題について議論しました。グラーツ市では、市役所が中心となって、トラムの路線網と自転車網を拡大し、e-carのシェアリングを推進していることから、特に公共交通部門の役割(計画、調整、実施管理)に重点を置いた組織構造について、活発な意見交換が行われました。また、バスやトラムの車両基地やワークショップの視察では、現在サラエボで直面する車両メンテナンス問題について、技術的な意見交換を現場のエンジニアと行いました。今回の訪問については、グラーツ市役所のHPでもその内容が掲載されています。

第2回第三国研修は、在サラエボ・イタリア大使館から紹介を受け、フィレンツェではコムーネ(comune)庁舎、トラム事業者(GEST)、交通信号事業者(SILFI)にて研修を行い、さらにボローニャではコムーネ庁舎を訪れたほか、ボローニャ市長にも表敬訪問を行いました。具体的には、フィレンツェを中心に、公共交通機関中心の街づくりの要となるバスネットワークの計画及びトラムの建設の歴史や運営実態について学びました。一方、ボローニャでは、トロリーバスやバスが人気で便利な公共交通機関となっており、コミューター鉄道の試乗とともにこれらの交通機関を視察しました。さらに、ボローニャとサラエボの交通改善の取り組みに係る多くの共通課題について議論したほか、2都市間のさらなる協力の可能性についても、話題となりました。これらの視察や研修、協議の内容は、サラエボの交通改善計画の策定において大変参考になるものでした。

今回の第三国研修による豊富な視察内容は、今後サラエボの公共交通発展や改善に直接的に役に立つ内容であったと感じています。JICA専門家チームは引き続き、カウンターパートと共に現地で活動を継続していきます。

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オーストリア国グラーツでの第三国研修の様子1)

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オーストリア国グラーツでの第三国研修の様子2)

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イタリア国ボローニャ市長への表敬の様子