マレーシアCIAST派遣短期専門家による技術指導研修

2017年2月24日

2017年1月30日〜2月24日

1月初旬より派遣された短期専門家の鈴木専門家に続き、1月末より4週間にわたり、マレーシアの中核的職業訓練校でJICAの支援対象であったCIAST(Centre for Instructor and Advanced Skill Training of Malaysia)から派遣された電気配線工事の短期専門家、Mr. Mohamed Lotfi b. Arifin(ロトフィー専門家)による技術指導研修が本プロジェクトの対象パイロット校3名の研修生に対して実施されました。

電気配線工事は、生産現場のみならず、建設ラッシュの続くプノンペンやカンボジア国内で、早急に必要とされている技術のため、訓練校の指導員や学生にきちんと習得してもらう必要が高い技術です。

本プロジェクトが開始される前より、JICA第三国集団研修の枠組み等でカンボジアとCIASTとは連携が図られてきました。CIASTでは、これまで本プロジェクトの対象校3校からも電気分野の指導員を含め多くのカンボジアの研修生を受け入れており、カンボジアの事情を把握していることや、マレーシアの状況から職業訓練校の活動や技術についてカンボジア関係者にとって比較的将来像をイメージしやすいと思われることから、2016年度には、日本での技術指導研修や日本からの短期専門家派遣だけではなく、CIASTを活用したこれらの活動を行いました。

ロトフィー専門家による対象校のNPIC校、NTTI校やPPI校の見学の際に、以前CIASTでの研修を受講したカンボジア人指導員たちから、同氏に対してたびたび声がかけられる等、これまでのCIASTの技術協力を通じた結びつきを感じました。

実際の技術移転時には、マレーシア側で事前に想定していた資機材がカンボジアでは十分そろわず、また、カンボジアでは電気設備標準の国家規格がなく、パイロット3校においても、電気工事施工の方法がばらばらであるため、国際標準規格に照らし合わせて技術移転を進める必要がありました。
さらに、プノンペン市内で購入した資機材についても調達先が相当異なることから、電線を含め電気部品の細部の規格についても細かく踏み込んだ形での技術移転となるなど、今回の技術指導研修の実施を通じて、これまで明らかでなく顕在化していなかった実習現場の様々な問題点が浮き彫りになりました。

マレーシアにおける英国の電気設備基準、JICAが推奨するJIS基準、プノンペン市内に多く出回る中国製品で使用されている基準など、千差万別な規格や性能を有する電気部品の中から、カンボジアにおける職業訓練で使用する標準教材の基準の必要性について考えさせられた技術移転でもありました。

2017年度は、今般の教訓を生かし、電気配線工事の教材を開発する技術移転も行うこととし、こうした点も視野に置きながら、引き続きマレーシアの職業訓練校を活用した短期専門家派遣を実施できるよう検討を進めていきます。

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ロトフィー専門家による講義指導

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研修生が電気配線図を作成している様子

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研修生による模擬実習

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研修生による模擬実習

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NPIC電気科部長よりロトフィー専門家へ感謝状授与

【画像】専門家と研修生3名ならびにNPIC電気科部長の集合写真