第6回National Skill Competitionに協賛

2017年11月17日

2017年11月13日~17日

2015年9月末から開始した”産業界のニーズに応えるための職業訓練の質向上プロジェクト”では、電気分野の短大レベル相当の技術者を育成すべく、産業界と連携しながら様々なプロジェクト活動を進めています。

去る11月13日から17日までプロジェクト対象訓練校であるNPICで、第6回National Skill Competition(国内技能競技会)が開催されました。この競技会は労働職業訓練省が主催し2010年から1-2年毎に開催されています。6回目となる今回は、若者の技能の研鑽の場となるとともに、来年タイ・バンコクで開催されるASEAN Skill Competitionへの出場者選考会の場となりました。

競技種目は、6種目で職業訓練校の学生を主とする参加人数は、それぞれ、電気工事(12名)、煉瓦積み(12名)、溶接(6名)、ITソフトウェアソリューション(6名)、グラフィックデザイン(5名)、ウェブデザイン(8名)で、合計49名の競技者が3日間にわたり、学んできた知識や技術を競い合いました(3日間のうち、各種目により競技時間が異なります。また、前後1日はそれぞれ競技開始前の資機材の確認やオリエンテーション、および競技終了後の評価審査をする時間にあてられます)。

競技結果ですが、各種目の成績上位者が表彰されるとともに、電気工事および煉瓦積みの上位2名と、ウェブデザインを除く上記3種目の優勝者各1名の合計7名が、来年のASEAN Skill Competition出場権を獲得しました。特に当プロジェクトで協力している電気工事部門では、対象訓練校の1つであるPPIの学生が1位と3位を獲得し、また、地方展開対象校の1つであるスバイリエンの地域拠点訓練校の学生も敢闘賞を授与されました。また、NPIC配属の山野シニアボランティアが指導する溶接分野では、前回に続き、NPICの学生が優勝しました。

今回は、当プロジェクトとして全面的に協力し、事前の準備会合や電気工事部門の技術委員会にも参加しながら、日系企業とカンボジア側関係者をつなぎ、富士電機(株)、矢崎電線(株)、マキタ社の電動工具等を扱う泰盛貿易(株)から競技機材の無償提供や、優勝者や入賞者への賞品贈与などの協賛を受けることもできました。

さらに、当プロジェクトでは、職業訓練校の学生の技能をより広く一般に知らしめ、また、大会を盛り上げるため、カウンターパートの協力を得て下記のような様々な企画を同時並行で行いました。

1)産業界および高校生のNPIC・競技会視察ツアー
競技会期間中の14日に、産業界および高校生の視察ツアーを企画し、午前中は、日系企業およびカンボジア現地企業の製造・建設業関係者を中心に約50名の方々にNPIC各学部の取り組みや競技会の様子、展示ブースのデモなどを見学していただきました。中でも、カンボジア日本人商工会(JBAC)会長等幹部の方々に参加いただくなど、産業界の関心の高さがうかがわれました。
午後は、プノンペン市内の6校から高校生を300名招聘し、NPICスタッフがガイドする視察ツアーを実施しました。

2)展示ブース設営
14日、展示ブースを屋外に設け、NPICの学生による訓練機材や試作品のデモ、協賛企業の(株)他泰盛貿易(株)、タイ矢崎電線(株)、当プロジェクトの産業アドバイザーメンバー企業であるSoma Energy社などによる機材・機器展示や見学者に向けての実演を行いました。

3)日本国内技能競技大会金メダリスト2名(うち1人は世界大会銅メダリスト)による電気工事の実技研修
競技会期間中の5日間、日本の厚生労働省による委託事業である、カンボジアでも展開している技能評価システム移転事業(SESPP事業)を活用し、日本より、(株)きんでんの厚海専門家および木下専門家においでいただき、プロジェクト対象校を含む6名の訓練校電気科指導員に対して訓練研修を実施し、国内技能競技大会金メダリストならではの、“早く、正確に、かつきれいに”、電気配線を仕上げる日本の匠の技を研修生に伝授いただきました。

4)富士電機(株)による技術者向け無料技術セミナー
14日、当プロジェクトで共同開発した訓練機材も活用しながら、一般企業および訓練校から募った受講者19名に対し、「タッチパネルの設計技法(インバーター制御編)」1日セミナーを実施しました。講師には、タイおよび日本から技術者をお招きし、効果的かつ実践的な画面設計技法について講習が行われました。

5)矢崎電線(株)によるNPIC学生向け講義
14日午前、NPICの電気学科学生50名に対し、電気分野の基礎素材である電線の製造方法などについて講演を行いました。講師には、タイから技術者をお招きし、学生の知的好奇心を呼び起こす講義が行われました。

国内競技大会の規模も競技種目もまだまだ小ぶりですが、これからもより多く質の高い技術者が育成されるよう、“産業界のニーズに応えるための職業訓練の質向上プロジェクト”では、これらのイベントやプロジェクト活動を通して引き続き尽力したいと思います。また、こうした取り組みについて、カンボジア国内外から、日本の官民を挙げて支援していきたいと考えています。

【画像】

競技大会初日開会式の参加者

【画像】

競技大会開会式の様子(左より日本の厚労省事業担当者、労働省副長官、JICAカンボジア事務所長、大使館担当書記官が列席、中央は労働省長官)

【画像】

プロジェクト代表で大会開催に貢献した奥村リーダーが表彰

【画像】

大会2日目の産業界関係者のスタディーツアー参加者

【画像】

日本人商工会会長による挨拶

【画像】

電気工事競技の様子(電気配線)

【画像】

電気工事競技の様子(電気配線の間違い探し)

【画像】

電気工事競技の様子(電気配線のためのプログラミング)

【画像】

電気工事競技の判定・評価の様子

【画像】

溶接競技の判定・評価の様子

【画像】

煉瓦積み競技の判定・評価の様子

【画像】

入賞者の集合写真