パイロット職業訓練校で企業従業員向けの有料技術セミナーを開催

2019年7月19日

2019年5月27日、29日、31日、7月15日、17日、19日

カンボジアでは経済発展とともに若者の就学率の上昇、高学歴化の進展がみられます。持続的な発展のためにも人材育成がますます課題となっており、職業訓練(TVET)の分野への期待も高まっています。高校等を卒業し職業訓練機関で学ぶ者も、在職者も、職業生涯にわたって技能を向上させていくことが必要とされています。

カンボジアの産業人材育成を目指す当プロジェクトが2015年9月にスタートしてから約4年になります。プロジェクトでは、当地で活動されているJBAC(カンボジア日本人商工会)の企業の皆様ともつながりを深めてまいりました。このたび、当地で製造業を営む日系企業の方々からの要請を受けて、5月と7月の2回にわたって、それぞれ3日間、パイロット職業訓練校で企業従業員向けの有料技術セミナーを開催しました。

5月のセミナーはシーケンス制御についてPPI校で実施され、4社から7名の参加がありました。同内容は昨年夏に続く開催となり(2018年8月27日付け「パイロット職業訓練校で有料技術ワークショップを開催」を参照)、その際の経験を活かした訓練が熟練した指導員によって実施されました。セミナー内容は、従来のシーケンス制御に加え、ビスのトルク管理(適切な締付トルク)、チャタリングの発生と対策、効率的な配線法等を実施しました。また、セミナー最後には習得度確認テストを実施し、結果を事業主に共有いたしました。

7月のセミナーはモーター制御・給排水ポンプ制御についてNTTI校で実施され、4社から7名の参加がありました。同内容の実施は初めてであるため、プロジェクトでは、テキストの作成や実施にかかる技術支援を指導員へ行い、更なる能力の強化を心がけました。セミナー内容は、誘導電動機の回転原理、電動機の正・逆転回路、スターデルタ始動回路を中心に実施し、電磁接触器・サーマルリレーの容量計算、モーターの電気的故障診断等も併せて実施しました。また、高層マンション等で使用されるフロートレススイッチを使用した給排水ポンプ制御回路も実施しました。

参加者は、企業での職業経験を通じての明確な目的意識と意欲を持って積極的に参加しました。実施後の受講者アンケートの結果、事業主からのフィードバックともに良好で、セミナーで得た知識や技能が大いに活用されていくことが期待されます。

有料セミナーとすることで、訓練校及び指導員にとっては励みになり、参加者に有益なものにしようとの意欲が高まることが期待できます。今回のどちらのセミナーも、会場となった職業訓練校の指導員がメイン講師を務め、他のパイロット校の指導員がアシスタントとしてサポートをするかたちを取りました。日頃からのプロジェクト活動を通じ、カンボジアの技術職業訓練をけん引する3校の垣根を越えた交流は深まってきており、セミナーは予定どおり、スムーズに進みました。昨年に続き回を重ねることで、一層充実したPPP(Public Private Partnership、官民連携)の機会とすることができました。

プロジェクトでは、2020年秋のプロジェクト終了後を見据えて、職業訓練校が強みを活かして有用な機会を提供する機関として産業界により一層認識され、両者がつながって双方向の連携が持続的に深まっていくようにするなど、当地における産業界の人材育成ニーズに応える、実践的な仕組みづくりとその定着を目指していきたいと考えています。

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シーケンス制御実習の風景

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締付トルクの確認

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テスタを使った回路チェック

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習得度確認テストの風景

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モーター制御回路作製

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絶縁抵抗試験

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給排水ポンプ制御実習の風景

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フロートレススイッチの電圧測定