パイロット職業訓練校3校で最終実技試験を改善し実施

2019年10月5日

2019年9月12日~13日、10月4日~5日

当プロジェクトでは、労働職業訓練省及び同省傘下の職業訓練校3校(NPIC、NTTI、PPI)をカウンターパートとして、電気・ディプロマコース(日本の短大2年制課程に相当)の改善に取り組んでいます。このたび、卒業を控えた2年生を対象とした、NPICでは3回目(10月4日~5日)、NTTI及びPPIでは2回目(ともに9月12日~13日)となる最終実技試験が実施されました。

2017年から始めたこの取り組みは、これまで筆記試験しか行われてこなかったところを、実際実技で学生がどれぐらいできるか、という実務面を担保するためにあります。その結果、2017年はNPICの1校のみでトライアル実施、2018年度は対象校3校でそれぞれオリジナルの問題を作成し、独自に実施、そして2019年度は3校共通の試験問題、評価シートを作成し、試験の一層の標準化を図りました。

また、職業訓練校のニーズを踏まえ、昨年までの3科目(PLC、モーター制御及び電気工事)にAuto-CADを加えた4科目で実施し、受験者数も、3校併せて142名から264名と大幅に増えました(NPICは全員、NTTI及びPPIは、夜間コースの学生を含む)。

これら4科目すべての合格率は、3校平均で74.6%となり、今年は更に、卒業生のスキルの質を証明する一助として、4科目合格者への証明書を発行することとしました。これにより、卒業生が自ら培ったスキルを明らかにし、また、企業側にとっては、卒業証明とは別に、実技試験の修了証を発行することで、特定技能については知識だけではなく実際実技ができる、ということが、よりマッチした就職に結びついていくことが期待されます。

今年の試験は、特にプロジェクト終了後も学校の独自予算を確保して実施できるような体制づくりを意識し、試験日程や当日のロジ面の運営において、各校の自主性が発揮されるように心がけました。あわせて、本年5月以降にTWG(Technical Working Group)会合を数回開催し、試験の実施に当たって必要な検討事項の議論を重ね、試験科目、3校共通の試験問題、評価シートの作成、試験の実施に必要な消耗部品の調達などの技術的な支援を行いました。

実習試験にかかる、受験生1名当たりのコストは大幅に削減することができ、指導員を対象とした模擬試験の実施を行うことで、各校において試験当日に円滑に運営できるような体制を整えました。

また、試験当日に受験生が回答したアンケートの結果からは、各校における教育訓練(カリキュラム・訓練時間・設備等の環境面や指導員の教育方法等)への高い水準の満足度がうかがえました。実践的な教育訓練が高い評価に結びついたものと考えています。

このように、パイロット校における最終実技試験は定着してきましたが、10月下旬に実施したTWG会合において、現場の指導員とともに問題点を洗い出した結果、評価基準や採点の標準化などの課題も浮き彫りとなりました。今後、一層の卒業生のスキルの質、指導員のキャパシティ・ビルディングが図られるよう、より良い仕組みの構築につなげていきたいと考えています。

また、最終実技試験のこれまでの成果について、11月に開催予定のプロジェクト進捗協議を行う場であるPIG(Project Implementation Group)会合へ報告をすることとしています。同省によって、当プロジェクトの終了後を含む今後において、カンボジア全土の電気・ディプロマコースをはじめとする分野へ、実践的な仕組みの普及・定着が進んでいくことを期待しています。

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電気工事テストの様子(NPIC)

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電気工事テストの様子(NTTI)

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電気保全テストの様子(NPIC)

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電気保全テストの様子(PPI)

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PLCテストの様子(PPI)

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AutoCADテストの様子(NTTI)