パイロット職業訓練校においてJEED短期専門家による電子回路研修を実施

2019年10月30日

2019年10月2日~30日

当プロジェクトは、パイロット職業訓練校3校(NPIC/NTTI/PPI)の電気・ディプロマコースにおける実践的な訓練を強みとしています。訓練の担い手である指導員の能力向上のため、労働職業訓練省では毎年、職業訓練校における技術再訓練に取り組んでいますが、当プロジェクトにおいても専門家(長期・短期)による技術移転に取り組んでいます。

このたび、JEED((独)高齢・障害・求職者雇用支援機構)の福山職業能力開発短期大学校から塩田孝芳先生をお招きして、パイロット校のNPICにおいて、電子回路(アナログ・デジタル、パワーエレクトロニクス回路)の研修を実施しました。本研修の実施の背景には、各校での電子回路系科目において、座学中心の授業展開であり、また、実習では実際の電子部品を使用しないシミュレータ機材の学習が中心のため、知識・技術の習得が限定的でした。そのため、実際に使用されている電子部品を使用した実習を導入し、更なる知識・技術が習得可能な実践的な実習を展開するために研修が計画されました。なお、当プロジェクトが短期専門家を当地へ招いての研修は、2018年10月のCIAST(マレーシアの職業訓練機関)以来、日本からの専門家は同年4月の中央労働災害防止協会以来となりました。

研修には、パイロット校3校から2名ずつ、計6名の指導員が受講しました。
研修では、電子素子(オペアンプ、デジタルIC、パワーデバイス等)の基礎実験を通じて、各素子の特性および使用法を習得するとともに、各種制御回路の実践的な回路作成法を展開しました。
研修後、塩田先生からは、1)各指導員が習得目標に達成したと考えられる、2)電子回路の実験は計測器など使用する機器に実験の精度が依存するため、今後、各校の機器の整備が重要である、3)今後は技術移転を受講した指導員が他の指導員への技能継承を実施していくことが必要と考えられる、との講評をいただきました。
研修中には、当地で用いられている機器や部品に依存してうまく回路が動作しないトラブルもありましたが、それらが作動するように先生が作業する様子を間近に目にすることは、受講生が問題解決能力を高めるうえでも大いに参考となりました。
受講生からは、「新たな知識を得ることができ、電子回路に関する体系的な理解が深まった」、「JICAより実践的な実習をするための多くの電子部品・測定機器を提供していただき本当に嬉しい。供与された機材を積極的に活用し、研修で習得した知識・技術を学生に教えていきたい」、「教育の場を提供しているJICAのTVETプロジェクトに感謝する。3校以外の他の学校にも実験・実習のような研修を実施してほしい」といった声が聞かれました。
研修後には、3校それぞれに電子部品約600種類および測定機器を含む実習機材が供与され、今後は、これらの機材を活用した実践的な実習が展開されることが期待されます。
また、研修最初の週には、NPICのブン・ペアリン校長と面会しました。校長からは、実践的な訓練への謝意と、今後一層の日本によるTVET(技術職業教育訓練)分野の協力への期待が述べられました。

塩田先生、JEEDをはじめとする関係者の皆さまに感謝申し上げます。プロジェクトでは、職業訓練校における教育訓練の質を高め、より多くの有能な訓練校出身者が社会に輩出されるよう、引き続き取り組んでいきます。

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研修開講式

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測定機器の使用説明の様子

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実習前の座学

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アナログテストの様子

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個別対応の様子

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デジタル回路作成の様子

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供与される電子部品および機材の一部

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NPICからの感謝状授与