コンピテンシー基準案の妥当性を検証するワークショップを開催

2019年12月20日

2019年はカンボジアにとってASEAN加盟20周年の年でした。域内をはじめとする国際的な人材の移動が活発になっており、それに応じて一人ひとりの人材の職業能力を評価することへのニーズは高いものがあります。このためカンボジアでは、ASEANの枠組み(AQRF:ASEAN Qualification Reference Framework)に準拠した、コンピテンシーに基づいた教育訓練の枠組み(CQF:Cambodian Qualifications Framework)が策定され、それに基づく電気を含む重点分野の標準訓練パッケージ(Standard Training Package)文書の整備が進められています。

当プロジェクトは電気分野のディプロマ・コース(日本の短大課程相当、CQFレベル5)を対象として、標準訓練パッケージの作成に向け、コンサルタントを活用して精力的に作業を進めています。本年8月の第1回IAG(Industry Advisory Group)会合では、「Electrical Installation and Maintenance」の職業について、コンピテンシーの基準(CS:competency standard)の大枠となるプロファイル(項目)等の議論が行われ(2019年8月29日付け「コンピテンシーの基準について産業界や教育訓練の現場との会合を開催」を参照)、その後、具体的な基準案の作成が続けられてきました。このたび、プロセスの一環として、基準案の妥当性(validation)を確認するため、産業界及び職業訓練校から意見を聴取するワークショップ(第2回IAG会合と位置づけ)が開催されました。

ワークショップの冒頭、労働職業訓練省・技術職業教育訓練総局(MLVT/DGTVET)のヒンシデ局長からは、若者をはじめ働く者が時代に適応したスキルを身に付けることが重要である、日本の経験に学び、産業界と連携し、全国の職業訓練校で活用され、輩出される人材が実際の職場で活躍できるようなコンピテンシーの基準を策定することは、国のTVETシステムの強化にもつながるものである、と活動への強い期待が述べられました。

その後のワークショップは、出席者からの質問にコンサルタントが答えながら、項目の順を追って検討し、出席者が回答様式にコメントを記入していくかたちで進められました。

ワークショップ後は、コメントを踏まえた必要な修正を行い、まずCSのドラフトを固め、続いてカリキュラム(CBC:competency-based curriculum)を作成していくこととなっています。

プロジェクトでは、これらにより構成される標準訓練パッケージのドラフトを、2020年4月のクメール正月前に予定しているJCC(Joint Coordinating Committee、合同調整委員会)へ提出し、プロジェクト・ディレクターである労働職業訓練省長官の承認を得ることを目指しています。

カンボジアの職業訓練校では、CQFに基づく教育訓練に移行していくこととされていますが、現在は科目ベースの教育訓練が続いています。全土での移行・実施には今後時間がかかることも予想されますが、当プロジェクトは、CQFレベル5における初の標準訓練パッケージの試みです。他の分野への波及効果も意識して良質のものにまとめ、TVETの質の向上につなげていきたいと考えています。

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ヒン・シデ局長からの開会の挨拶

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会議の様子

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ワークショップの様子