企業従業員向けの有料技術セミナーをパイロット職業訓練校で実施

2020年1月30日

2019年12月17日~19日、2020年1月28日~30日

カンボジアの製造業界では、多くの国内人材が技術者(テクニシャン)として活躍することへの期待があります。政府は「生涯学習」をキャッチフレーズに掲げ、すでに実社会で活躍している在職者の学び直しのニーズも高くなっています。また、TVET(技術職業教育訓練)の政策に関する新たな5か年計画である「戦略行動計画2019-2023」の柱にも、「官民連携(PPP:Public Private Partnership)や関係者との協力を強化し、持続可能なTVETを確保すること」が掲げられています(注1)。

当プロジェクトではこれまで、パイロット職業訓練校の電気・ディプロマコースにおける実践的な訓練を改善し、JICAの強みを活かして日系企業の皆様との連携を深めてきました。

その一環として、産業界の訓練ニーズに応えるべく、職業訓練校の指導員が企業の従業員向けに有料で技術セミナーを提供しています(注2)。今回、2019年12月及び2020年1月にそれぞれNPIC(National Polytechnic Institute of Cambodia)で3日間ずつ、2つの技術セミナーを開催しました。

2019年12月の電気工事セミナーでは、スイッチ、コンセント、ランプ等の電気設備にかかる電気施工法を学び、電気設備施工の知識と技術を学び、具体的には、配線図面の読み方、マーキング(墨だし)、器具の取り付け、配線、導通試験までにかかる一連の電気施工を習得しました。また、受講者は、同時期に開催されていたSESPP事業(2019年12月24日付け「カンボジアにおける厚労省技能評価システム移転促進事業が進展」を参照)で実施されていた、(株)きんでん所属の世界技能競技大会入賞者による、世界基準の施工のデモンストレーションを見学することができました。

2020年1月には、PLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)のプログラミングセミナーを実施しました。PLCは工場内の自動化製造ラインの制御などに使用されているため、ミニチュア版ともいえる、コンベア装置の制御実習を通じて、PLCのプログラミング技術を学びました。これにより、体系的かつ効率的なプログラミング方法やモニタリングによるデバック方法を含めたPLCのプログラミング技法を習得できました。

有料技術セミナーも回を重ね、JBAC(カンボジア日本人商工会)の日系企業からも高い評価をいただいています。また、当プロジェクトのカウンターパートである労働職業訓練省・技術職業訓練総局(DGTVET)の職員もセミナーを視察し、産業界のニーズに職業訓練校が応える仕組みへの評価の声が寄せられました。当プロジェクトでは、プロジェクト後を見据え、日系企業のみならず広くカンボジアにおける産業界のニーズに対応した訓練を職業訓練校が継続実施できるような仕組みを構築していきたいと考えています。

(注1)「戦略行動計画2019-2023」(Strategic Action Plan 2019-2023)には、「TVETを現代化する(Modernizing TVET)」というタイトルが付いています。政策の5本柱として、本文に記載した官民連携等の強化のほか、職業訓練の質の強化、技能訓練の機会の拡充、ガバナンスの促進、研究・イノベーションの促進が掲げられています。加えて、TVET分野の人材育成も重視しています。

(注2)これまでの有料技術セミナーの活動の一部は、下記のプロジェクト・ニュースでご紹介しています。

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卓上盤を使った電気工事

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課題1のマーキング(墨だし)

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課題1の配線作業

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課題2の取付作業

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課題2の配線作業

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施工後の導通試験

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PLC講義の風景

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実習風景

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PLCプログラミング

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モニタリングおよびデバック