訓練機材の電気保全点検ボックスを製作

2020年2月7日

2019年12月25日、12月27日、2020年1月3日、2月7日

カンボジアでも電気は安定した生活や産業活動の基盤です。産業界の電気分野の人材へのニーズは高く、労働職業訓練省傘下の職業訓練校の1年以上のコースにおいて、学生数が最も多い専攻となっています。

当プロジェクトでは、プノンペンにある同省傘下のパイロット職業訓練校3校(NPIC/NTTI/PPI)の電気・ディプロマコースを対象に、訓練機材を用いた実践的な訓練に力を入れています。同コースの卒業生の就職先のひとつに電気系保全の職種があり、故障があった際に、いち早く故障部分を断定し修繕することは、予防保全(故障しないように保全する)とともに、非常に有用なスキルとされています。

ひとくちに「訓練機材」といっても様々で、高額のものもあれば、簡易で比較的安価に作製できるものもあります。このたび、2019年12月から2020年2月の4日間にわたり、パイロット職業訓練校(NPIC及びPPI)にて、パイロット職業訓練校3校の指導員7名に対して、松本専門家(電気)の指導により、電気保全科目の実習で使用する保全点検ボックス(BOX)を指導員とともに作製し、点検法の講義および練習課題の開発を行いました。

保全点検BOXは、内部にシーケンス回路基板があり、これに接続されている10個接点(スイッチ)が配置され、テスタを用いて接点の開閉状態を診断訓練するものです。これにより、テスターを用いた故障箇所の発見技術の習得が期待されます。

また、本BOXの特徴は、10個接点の開閉状態により難易度を任意に変更できること、実習時に消耗品が不要なこと、カンボジアのローカルショップで購入可能な部品で作製したため指導員で更なるBOXの追加および修繕が可能なことです。

訓練の現場で必要とされる機材のカスタムメイド作成は、電気専門家が現地に滞在するプロジェクトならではの強みです。また、指導員が装置の原理を学び、実際に手を使って組み立てる経験は、技術の習得・定着と学生への訓練にも効果的と考えられ、指導員からも好評です。

今回の活動では、パイロット職業訓練校3校の指導員がお互いに教えあい、他者の良い所を取り入れる光景が見られました。3校はプノンペンのみならずカンボジア全土をけん引する技術系の職業訓練校であり、このような協働の経験はプロジェクト終了後も活きると考えています。

当プロジェクトでは、指導員が訓練校の垣根を越えて切磋琢磨し、カンボジア全体でのTVETのレベルが向上していくことを期待しながら、プロジェクト終了後も彼らによる機器の修繕や新規追加、また新課題の発展を期待したいと思います。

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BOX作製の風景1

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BOX作製の風景2

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課題作成の風景

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開発課題のトライアル