第4回JCC会合を開催

2020年10月19日

当プロジェクトの現地での活動が本格的に再開し、活動期間が残すところ半年を切ったタイミングで、第4回JCC会合(Joint Coordinating Committee、合同調整委員会)を開催しました。プロジェクト・ディレクターであるサォポーン労働職業訓練省長官の主宰により、現地のカウンターパート(労働職業訓練省及びパイロット職業訓練校3校)、産業界、日本大使館、JICAからは当プロジェクト、カンボジア事務所に加え、オンラインで本部人間開発部が参加しました。

2019年3月以来、1年7か月ぶりの開催となった今回のJCCでは、2020年度上半期までの活動実績を振り返り、プロジェクトの残る期間、さらには終了後の望ましいTVET(技術職業教育訓練)の発展のあり方や当地で必要とされる支援について議論をおこないました。

冒頭、菅野JICAカンボジア事務所長から、(1)JICAの幅広い活動のうち「産業人材育成」は重要であり、当プロジェクトは一貫して訓練校の現場における実践的なスキル向上に取り組んできた、(2)これからの約5か月は、プロジェクト終了後のTVET分野の発展のためにも極めて重要な時期であり、カウンターパートには、指導員の育成、訓練機材の確保などの戦略的な検討を求めるとの発言がありました。

サォポーン長官からは、コロナ禍の下でもTVETが重要として、最近の取組(本年9月21日からカンボジア全土の職業訓練校が再開可能となったこと、9月22日の全国訓練委員会で標準訓練パッケージが承認されたこと、国内のロボットコンテストでNPICが優勝したこと等)が報告されるとともに、当プロジェクトのこれまで5年に及ぶ活動への評価がありました。

続いて、労働職業訓練省・技術職業訓練総局(DGTVET)から、最近のプロジェクトの取組の報告とともに、(1)パイロット校での実践的な訓練が着実に改善している、(2)活動を通じて各校の責任感やオーナーシップが醸成されてきた、(3)カンボジアにおける多様なステークホルダーとの協働が促進されてきたとの評価がありました。また、今後の課題として、効果的な活動の実施、標準訓練パッケージの効果的な普及や実行、持続可能な活動の検討、ステークホルダー間の緊密なコミュニケーションが必要と指摘されました。

また、パイロット職業訓練校の指導員(TWG)から現場における訓練の改善の取組が紹介されたほか、当プロジェクトの松本専門家から、指導員の能力が強化されてきた、最終実技試験をはじめとする訓練の質の確保・向上に向けた仕組みが導入・改善されてきたとの評価をおこないました。

その後のディスカッションでは、プロジェクト終了後の持続可能性も念頭に置きながら、実践的な訓練を中心とする活動を計画的におこなっていくこと、標準訓練パッケージを必要とする職業訓練校の地方拠点校(注)等への効果的な普及、産業界と職業訓練校の連携強化、ADBなどの他の開発ドナーを含む協調・協働といった幅広い論点が提起されました。現地産業界を代表してミネベアカンボジア様から職業訓練校を卒業した高技能人材への高い評価が述べられたほか、カンボジア側からはJICAのTVET分野への継続的な協力に大きな期待が寄せられました。パイロット職業訓練校3校における経験が、TVETの持続的な発展と改善に十分に活かされるべきであることについて、合意を得ることができました。

当プロジェクトでは、今回のJCC会合を踏まえ、プロジェクト終了後の持続可能性を考慮に入れながら関係者と一層協調し、指導員の能力強化、産業界とのパートナーシップをはじめとする一つひとつの活動を着実に実施していきたいと思います。

(注)労働職業訓練省では、カンボジア全土をプノンペンのほか5つの地域クラスターに分け、シェムリアップ(北部)、バッタンバン(北西部)、カンポット(南西部)、タケオ(プノンペン周辺部)及びスバイリエン(東部)にある職業訓練校5校を、地方拠点校(RPI:Regional Polytechnic Institute)と指定しています。

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開会を宣言するサォポーン長官

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菅野JICAカンボジア所長からの挨拶

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日本・カンボジアのTVET関係者が一堂に会して開催

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オンラインでJICA本部が参加

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労働職業訓練省やパイロット3校の校長が参加

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議事録の署名式

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労働職業訓練省前での全体写真