パイロット職業訓練校で企業従業員向け有料技術セミナーを再開

2021年1月15日

2020年11月4日~6日、2021年1月12日~15日

当プロジェクトではこれまで、パイロット職業訓練校における産業連携の活動の一環として、訓練校指導員による企業従業員向けの有料技術セミナーを開催してきました。このたび、訓練校の再開に伴い、2020年1月下旬以来のセミナーを2回、2020年11月及び2021年1月に開催しました。

2020年11月4日から6日にかけてNPIC校で、ファクトリー・オートメーション(FA)におけるセンサセミナーを実施しました。製造現場では自動化および生産品質の向上のため多種多様なセンサが使用されており、現場の電気技術者にとって必須の技術となっています。本セミナーでは、製造現場で使用頻度の高いセンサ(光電センサ、光ファイバーセンサ、近接センサ、変位センサ)の検出原理、特性、使用・調整法等について、様々な検出実習を通じて実践的なセンサ技術のセミナーが展開されました。現地日系企業5社の従業員17名が参加しました。

カンボジアでは新型コロナウィルス感染症(Covid-19)への警戒が続いています。学びの場である学校や職業訓練校についても例外ではありません。2020年11月以降、職業訓練校は再び、累次にわたる閉鎖を余儀なくされましたが(注)、2021年1月12日から15日にかけて、NTTI校で、PLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)プログラミングに関する対面セミナーを開催することができました。PLCは工場内の自動化製造ラインの制御や広域建造物の電気制御に使用されています。本セミナーでは、コンベア装置の制御実習を通じて実践的なプログラミング技法のセミナーが展開されました。現地日系企業3社の従業員13名が参加しました。
このセミナーは、カンボジアの現地の工場、職業訓練校で提供できる技術訓練の双方を熟知した電気専門家が内容を検討し、実際の指導に当たる訓練校の指導員もコーディネートをしています。受講者には好評で、アンケートでは、「職場を離れての集中的な技術講習でスキルアップできた」、「このような機会が多くあってほしい」といったコメントがありました。
また、パイロット職業訓練校の指導員にとっても日頃とは異なる民間の技術者に講義実習をするため、新鮮な刺激、モチベーションの向上につながっており、また、産業界との意見交換をする貴重な機会となっています。セミナーでは、講習開始前に受講者の技術レベルを確認して訓練内容を検討するなど、指導員の自主的な工夫がみられます。また、3校の指導員が講師、アシスタントを分担するなど、力をあわせて結束してきており、頼もしく感じます。
プロジェクトでは、産業界、職業訓練校の双方がウィン・ウィンとなるような仕組みづくりが検討されていくことを期待しています。

(注)カンボジアにおけるCovid-19をめぐる最近の状況、教育・人材育成への影響

コロナ禍はカンボジアの教育・人材育成にも引き続き幅広く影響を及ぼしています。カンボジアでは、2020年11月3日にプノンペンを訪問した外国政府関係者にCovid-19感染が発覚し、同月28日には国内初の市中感染が確認されました。これらを受けて、11月と12月のほとんどの期間、職業訓練校では通常の対面授業等の中断を余儀なくされました。
また、2020年12月に予定されていた全国統一高校卒業試験は中止となりました。受験を申し込んでいた者は全員が合格となり、それまでの成績等に応じ、入学する大学や職業訓練校が決められることとなりました。さらに、次回のASEAN技能競技大会は、シンガポールで2021年4月の開催が予定されていましたが、2023年7月に延期となりました。
2020年12月29日にフン・セン首相は国民向けにスピーチをおこない、上記の市中感染事案の終結を宣言しました。小・中学校等の教育機関は、2021年1月11日から新学期が始まりました。職業訓練校は12月29日から再開されましたが、新入生が入学するまでにはさらに時間を要しています。
2020年12月下旬以降、タイからカンボジア北西部に帰国した出稼ぎ労働者40名以上にCovid-19感染が確認されました。2021年1月15日時点の国内感染者数は426名(死者ゼロ)と公表されています。

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センサ実習の風景

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光電センサによる段差2ミリメートルの検出実習

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光ファイバーセンサのアンプ調整

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光ファイバーセンサのカラー判別実習

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PLCセミナーの講義風景

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プログラミング実習風景1

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プログラミング実習風景2