2021年2月26日
2020年10月~2021年2月
職業訓練の開発協力においては、その量と質の双方をレベルアップさせていくことが必要とされています。訓練施設の整備や実践的な訓練機材の導入のみならず、職業訓練校における指導員等の人材の能力強化が重要です。
新型コロナウィルス感染症(COVID-19)により、2020年のカンボジア政府の職業訓練関連予算は大幅に減少し、労働職業訓練省による職業訓練校の指導員訓練(2019年の模様はプロジェクトニュースを参照)は実施されないこととなりました。2020年11月以降も市中感染の発生等を受けて、たびたび学校や職業訓練校の休校措置が講じられてきました。
当プロジェクトでは、このような情勢であっても継続的に指導員の能力を強化することが必要と考え、2020年10月から2021年2月にかけて、松本専門家(電気)がパイロット職業訓練校3校(NPIC/NTTI/PPI)の指導員に対して、開発機材の知識及び技能を高めるための訓練を5回にわたって実施しました。当局や職業訓練校との調整を粘り強くおこない、保健省による感染防止のガイドラインを遵守することを条件に実施し、当初の予定からは遅れたものの、2021年2月末に完了しました。
訓練の内容及び日程は次のとおりです。
(1)絶縁抵抗及び接地抵抗の測定技法(2020年10月9日)
(2)電気機械の各種試験および評価法(2020年10月26日~28日、2021年1月15日)
(3)PLCによる数値処理およびAD/DA(アナログ/デジタル)変換(2020年11月10日~13日)
(4)フィードバック制御による温度一定制御(2020年12月24日~29日)
(5)ACサーボモータ(工場内の高精度位置決め用モータ)制御(2021年2月22日~26日)
これらの5本は、当プロジェクトが開発し、導入した新実習機材をパイロット職業訓練校の指導員が授業で展開できるようにするためのものです。いずれも産業界および指導員からのニーズが高かったもので、指導員にとってはどれも新技術となりました。また、職業訓練校が休校を余儀なくされていた期間も有効に活用し、彼ら、彼女ら一人ひとりの能力強化にもつながる貴重な機会となりました。
当プロジェクトでは、今回受講した20歳台後半から30歳台の指導員がレベルアップを重ね、訓練校をけん引していくことが期待されます。職業訓練校指導員の能力強化が図られるよう引き続き努力しつつ、労働職業訓練省が一層自主性を発揮して、TOT(指導員技術再訓練)などの機会が拡充されるよう、その必要性をアピールしていきたいと思います。