民事判決書、司法省ホームページにて公開

2020年12月31日

JICAプロジェクトが支援をしてきた、民事判決書公開が2020年12月31日に司法省ホームページにて公開されました。今回は第1回目として44件の民事判決書が公開されました。公開された判決書はモデルとして選抜されたものではなく、書式例および判決書公開セミナーでトピックとして取り上げた不動産契約や貸金返還請求に関連し、実際に裁判官が作成した判決書が掲載されています。

カンボジアでは今まで刑事、民事ともに判決書が公開されていませんでした。プロジェクトでは、判決書公開は法の適切な運用を促進する上で不可欠であると考え、カンボジアにおける民事判決書公開をプロジェクトの中心的活動として支援してきました。

判決書を公開するためには判決書から個人が特定されることを防ぐ必要があります。プロジェクトではマスキングの対象となる項目の選定や実際の作業についても支援してきました。また、収集した判決書の分析を行い、判決を起案する上で重要である点について全裁判官を対象にしたセミナーでの研修も継続的に行っています。

また、プロジェクトでは、実際の事件の判決書を公開するための作業のほかに、裁判官がモデルとすべきサンプルフォームも作成しています。今後は実際の事件の判決書を公開していくことに加えて、関連するサンプルフォームについても司法省ホームページに掲載し、サンプルフォーム作成の活動についても継続して支援していく予定です。

判決書が公開されたことにより、裁判官や司法全体の透明性が向上し、カンボジア国民、また国際社会からも信頼される裁判の実現がされることが期待されます。また裁判官、弁護士、法学者といった法曹関係者により既存の判決が分析され、判決の質がより向上し、カンボジアにおける司法の発展に大きな効果を与えることも期待されています。

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判決書公開について説明を行う福岡専門家

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判決書マスキング作業