「公共インフラの技術力強化(橋梁の耐震工学)」研修を実施しました。

2015年11月20日

中南米カリブ諸国の行政官を対象に、橋梁の地震被害と耐震設計に関する知識を提供する「公共インフラの技術力強化(橋梁の耐震工学)」研修が10月5日から16日まで、チリ・サンチアゴ市内などで開かれました。2010年にチリ中部沿岸で起きたマグニチュード8.8の大地震以降、JICAはチリに専門家を派遣し、日本の基準式や橋げたの落下防止装置の導入など、チリの橋梁耐震設計基準の改定に協力してきました。本研修は、これまでのJICAの協力実績を活かしながら、日本とチリの耐震技術と災害で得た経験を中南米カリブ諸国にも広く紹介・普及していくことを目的にしています。チリ公共事業省が企画運営した本研修には、コロンビアやエルサルバドルなど11ヵ国から20人が参加し、橋梁工学の基礎や液状化の対策方法などについて学びました。
研修ではまず、研修員が国別レポートを発表し、自国のインフラ設備の現状や課題などについて関係者間で情報共有。その後、チリ公共事業省やチリカトリカ大学の講師らが地震学や橋梁工学などのテーマついて講義しました。日本からは国立研究開発法人土木研究所の星隈順一専門家が講師として派遣され、日本の橋梁などの耐震基準や阪神淡路大震災と東日本大震災での被害の事例や復旧・修復方法、得られた教訓などについて話しました。講義のほか、研修員らはチリカトリカ大学の実験室を訪れて耐震技術の研究開発について学び、サンチアゴ市近辺の橋梁現場では災害時の公共インフラのリスク管理方法について知識を深めました。

【画像】

自国のインフラの現状と課題について発表する研修員。

【画像】

サンチアゴ市近辺の橋梁を視察する研修員たち。