日本人専門家の参加のもと、「建築物の地震リスク管理(地震後の応急診断)」研修を実施しました。

2016年7月22日

建造物の耐震基準や地震挙動、災害後の危険度診断などを総合的に学ぶ「建築物の地震リスク管理(地震後の応急診断)」研修を7月5日から7月月22日まで、サンチアゴ市やバルパライソ市などで実施。日本からも3人の専門家を派遣し、日本の耐震診断の考え方や最新の耐震改修技術を紹介しました。
本研修は昨年度からチリ公共事業省が実施しており、2回目となる今年度は、今年4月に起きた地震で大きな被害を受けたエクアドルやドミニカ共和国、グアテマラなど、中南米諸国の11カ国から24人のエンジニアや建築士らが参加。約3週間にわたって、地震学、耐震基準と耐震診断、免震などのテーマに関する講義を受講したほか、チリ・カトリカ大学工学部の実験施設を見学。また、チリ沿岸部のビニャ・デル・マール市の中心部を歩き、2010年のチリ地震で損傷した建物の復旧の様子を視察しました。
日本からは国土交通省国土技術政策総合研究所の福山洋部長と国立研究開発法人建築研究所国際地震工学センターの菅野俊介・特別客員研究員、同研究所の坂下雅信・主任研究員が「部材や架構の破壊形式と構造特性」「耐震改修技術とその適用事例」「大型構造実験」など12のテーマについて講義し、日本の最新技術について共有しました。
一方、研修を実施したチリ公共事業省は、災害後の建造物の応急危険度判定について、日本の手法や経験を参考にしながら、チリ独自の判定手法を開発し普及を目指しています。その活動の一環として、7月20日には、応急危険度判定に関する同省内部の講習会が開かれ、福山専門家と坂下専門家の両名が、日本における建造物の被災度判定などについて講義しました。

(文・写真 武田和代ほか)

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建造物の耐震安全性について解説する福山専門家。

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ビニャ・デル・マール市の被災建造物を視察する研修員たち。