日本人専門家の出席のもと、国際セミナー「地域防災:学校の安全と地域参加の重要性」を開催しました。

2016年9月2日

KIZUNAプロジェクトの一環として8月30日と31日、サンチアゴ市内のホテルで国際セミナー「地域防災:学校の安全と地域参加の重要性」を開かれ、チリの地方自治体の災害対策担当者や教育関係者のほか、ペルーやコスタリカ、エクアドルなど9カ国の教育省や災害担当省庁などから招へいした10人を含む約200人が参加しました。また日本で長年にわたり防災教育に取り組んでいる名古屋市港防災センターの近藤ひろ子・防災教育アドバイザーが、「命の学習としての防災学習」と題して、日本の小中学校で取り組まれている防災活動の実践事例について講演しました。

本セミナーは、日ごろの防災活動や災害時における地域の果たす役割の重要性と、子どもたちが1日の大半を過ごす学校での安全性について、チリをはじめ中南米各国の現状と課題、グッドプラクティスを共有し合い、地域・学校防災に取り組む関係者のネットワークを構築することを目的に開催されました。

初日は、「International Network for Education in Emergency」のクラウディオ・オソリオ氏が、国連国際防災戦略事務局(UNISDR)の推進する学校安全のための世界的イニシアチブについて基調講演。またチリの内務公安省国家緊急対策室(ONEMI)のリカルド・トロ長官らが、チリの国民保護体制や自治体レベルにおける防災活動を紹介したほか、チリ教育省からは、「学校の安全計画」策定やカリキュラムへの防災概念の導入などを中心にした政策と今後の展望などについて発表がありました。午後からは、「地域防災」「学校防災」の二つのラウンドテーブルに分かれ、中南米諸国で取り組まれている具体的事例について発表と議論が行われました。

セミナー2日目は、生徒を主体にした学校安全委員会を結成し、日常的に学校安全に取り組んでいるサンチアゴ市内の私立学校を訪問し、避難訓練の様子を見学。またラ・グランハ区役所で、ONEMIがチリ国内で推進している自主防災組織「CERT」の訓練の様子を見学しました。

一方、近藤専門家はサンチアゴ市内の学校2校で、小学5、6年生を対象にした防災学習の模擬授業を実践。災害時の支えあいの大切さを説き、緊急時でも簡単に作れる紙コップやお皿、風呂敷で作る袋などを紹介して児童の関心を集めていました。

(文/写真 武田和代)

【画像】

国際セミナーで4月に起きた地震以降の学校現場での復興の様子を話すエクアドル代表者、サンチアゴ市内のホテル。

【画像】

各国代表者による議論の様子、チリ国際協力開発庁で。

【画像】

チリの小学生を対象に防災について語る近藤専門家、サンチアゴ市内の公立学校で。