プロジェクトニュース_03

2013年9月30日

プロジェクト事務所を開設しました

紆余曲折あり、開設が遅れていたプロジェクト事務所ですが、まだ整っていないとはいえ、ようやく開設にこぎつけました。首都サンホセから5kmほど離れたサント・ドミンゴと言う町にある、生物多様性研究所(INBio)の敷地内に間借りをしています。カウンターパート機関である国家保全地域庁(SINAC)の中にスペースがないということで、SINACがINBioにお願いして、空いている部屋を貸してもらったところを、あてがわれています。
これまで本庁の様々なスペースにばらばらに机を借りていたプロジェクト・チームが一堂に集まれるので、作業効率が上がることが期待できます。
皆さまも是非、コスタリカに来られた際にはお立ち寄りください。

好かれる協力・嫌われる協力

プロジェクト事務所が開設されましたが、それまでは、カウンターパートを含め、本庁でプロジェクトにかかわっている3名がまったく別部署に間借りをしていました。私は国際協力局の一角に机を借りていたのですが、そこで、ある日話題になっていたのが、協力機関による性格の違いということでした。もちろん、C/P機関の方が私たちの前でJICAを含めた協力機関の批判を言うことは絶対にありませんが、一般的な話として、受入国の置かれている状況を尊重している機関や人は評判が良いようです。お互いに譲れない条件があることを、認めた上で、落とし所を見つける作業を根気強く続けていくこと、世界がフラット化していること、協力を受け入れる側の国力も以前とは異なってきていること等を協力する側も認めて、新しい国際協力体制を探していくことが、信頼を得る上で重要なことなのかな…と考えさせられました。

調査諮問委員会の開催

9月16日に、調査諮問委員会の開催ができました。
調査諮問委員会と言うのは、このプロジェクトの中で行っていく、「コスタリカの経験をまとめ、そこから他の国と共有する教訓やナレッジを取り出していく」作業に対して、コスタリカ国内の有識者の方々からアドバイスをいただくためのものです。
今回の諮問委員会で出た意見の中で特に興味を引いたのは、「どうしてコスタリカは、生物多様性保全の分野で国際的な名声を得ているのか」、「果たして本当にコスタリカに国外と共有するべき活動があるのかどうか」、という、このプロジェクトに対する根本的な問いでした。
これまでのプロジェクト形成の段階では、コスタリカが他国と共有するべき活動や経験のキーワードとして、政府主導の保全活動ではなく、アカデミックな分野の参加や、多くの環境NGOが存在するなど、社会全体として生物多様性保全活動を進めている「参加型保全活動」という視点を持ってきました。
しかし、特に政府の外にいる方から見ると、コスタリカが有名なのは、あくまでイメージ戦略が成功しているだけで、実際には、まだまだなんじゃないか…という意見もあるという印象を受けました。
プロジェクト形成の段階でも、今回の諮問委員会のメンバーの何人かには意見をうかがって、どのような経験をまとめていくかを決めてきたのですが、あらためて、コスタリカの優れている点を、より「客観的」にプロジェクトの早い段階で進めていく作業が必要なのかなと、考えています。

経験をまとめるための最初の調査活動

上のようなプロジェクトに対する根本的な問いはあるものの、まずはプロジェクトの最初の活動として、カウンターパート機関である国家保全地域庁(SINAC)が、これまでどのような活動をしてきたかをまとめてみよう、ということになりました。SINACは国土を11の保全地域に分け、それぞれの地域が比較的独立した形で、自然資源の管理を行っているのですが、その経験が共有されていません。そこで、まずは、どこにどのような経験があるのかを見ていこうということで、各保全地域の活動年表を作る作業を進めていくことにしました。各保全地域が行ってきた活動を知った上で、より深化させていく活動をピックアップし、SINACに蓄積されたナレッジを抽出すると言う作業に移っていこうと考えています。

アジア国立公園会議への出席

とてもありがたいことに、アジア国立公園会議(2013年11月・仙台)でのコスタリカからの口頭発表が承認されました。アジアではない地域からの発表の承認ということですので、責任の重さを感じるとともに、是非とも、アジアの方々の参考になる発表ができればと思っています。そして、コスタリカ人がアジアを知るための良い機会とし、何か一つでも、コスタリカに持ち帰ってくれることを切に願っております。

【画像】

インビオ公園内のミツユビナマケモノ