設計能力(橋梁洗掘対策)向上に係る講習会を開催しました

2017年2月21日

東ティモール国は、島嶼国でありながらも東西方向250km、南北方向80kmの国土の中に標高2,000m級の急峻な山岳地帯を有する山岳国でもあります。そのため河川洪水の形態は、短時間で洪水が一気に流下するフラッシュフラッド(Flush Flood)が一般的です。そのため、雨季になると河川を横断する国道橋の橋台や橋脚が毎年のように洗掘被害を受けており、南部地域では橋梁が流出するといった被害例まで報告されています。
カウンターパートである道路橋梁治水局(DRBFC)が管理している橋梁データベースによると、東ティモール国における全橋梁(439橋)のうち約25%に当たる110橋が洗掘による被害を受けており、損傷した全橋梁(110橋)の約60%が洗掘によるものです。こうした洗掘被害は、護岸の根入れ不足や橋梁下部工の防護不足に起因していますが、対処療法的な対策しか取られておらず、繰り返し被害が発生しています。
こうした現状から、私達JICA専門家チームは、設計に必要な調査から対策工選定までの手順をカウンターパートに技術移転して、道路維持管理技術者の設計能力を向上させることが、東ティモール国の道路維持管理水準を向上させるためには必要不可欠と考えています。そこで、本プロジェクトでは、ケーススタディ活動を通じてトレーニングの題材として設計に必要な測量調査や地質調査を実施する予定です。
2017年2月21日に、設計能力向上に係るケーススタディ活動の一環として、坂中専門家(災害復旧)が中心となって橋梁洗掘対策をテーマにした講習会を開催しました。講習会では、南部地域を流下するSahen川を横断する国道14号線に架かる橋梁を題材として、洗掘量の計算方法や洗掘対策工法について講義しました。Sahen川橋は実際に洗掘被害を受けており、カウンターパートが今年中に復旧工事を実施する予定です。本ケーススタディを通じて、再び被害が発生しないような適切な洗掘対策工事が実施されることが望まれます。

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講習会の状況

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講義の様子