【第21号】第1回農家組合会議が開催されました。

2017年11月29日

2017年11月23日にディリ市内のホテルティモールにおいて、第1回農家組合会議が農業水産省(MAF)、本プロジェクト及び他の国際協力機関の協力のもと開催されました。

同会議には東ティモールの全国各地から農家組合や農家協同組合のメンバーやエスタニスラウ農業水産大臣、シプリアノ長官、丹羽チーフアドバイザーや国際協力機関の代表及びMAFの通商局スタッフ等が参加しました。

本会議の主な目的は、農家組合及び農家協同組合のメンバーが生計維持のための農業から農産物の品質維持や生産の増加に重点をおいた市場志向型の農業に移行できるよう、彼らに専門職的意識を持ってもらい、これまでの経験や組織運営上の課題等について共有することでした。

農家組合会議オープニング式典の式辞で、エスタニスラウ大臣は本会議を開催したMAFの農業通商局及び関係協力機関に賛辞を贈られるとともに、本会議に全ての農家組合及び農家協同組合のメンバーが集まり、農業の生産性や農産物の品質及び市場アクセスに係る活動について経験や情報を共有することは重要であると述べられました。そして農家組合のメンバーに様々な農業活動に取り組んで生産を増加させるとともに、農産物の品質を改善して市場における競争性を高めるよう要請されました。さらに、チャクブ組合に対しては、今後いかなる困難に直面しても国産米を振興し続けるよう励ましの言葉を贈られ、他の農家組合に対しては、チャクブ組合からその経験を学ぶよう奨励すると同時に、MAFからの支援を求めることに加えて、世界銀行によるローンにも申請するよう助言されました。

本会議ではJICAを含めた多くの国際機関の専門家が農家組合の生産や品質管理及びマーケティング分野における農家組合の役割と機能について講演する一方で、チャクブ組合は国産米の振興に係る本プロジェクトとの協力について紹介しました。

本プロジェクト専門家からは、多くの観光客が訪れる大きな市場を開拓した沖縄県農業協同組合(JAおきなわ)について紹介し、東ティモールも沖縄と類似した地理的条件や農業と観光に係る大きな潜在能力を有していること等を説明しました。以前にJAおきなわ職員であった廣中専門家(農産物流通販売分野)からは「東ティモールと沖縄は類似した風土や地理的条件を有しており、将来東ティモールの農家組合もJAおきなわのように現地の人々や観光客が現地の農産物を買いに行くことができる市場を創出することができると思います。」と説明しました。

本会議に参加した多くの方から、JICAを含めた国際援助機関による農家組合についてのプレゼンテーションに対する感謝の気持ち述べて頂きました。彼らにとっては日本やドイツの農家組合はより先進的で資源が豊富にあることは事実ですが、その一方で様々な農産物を生産したり、コメや他の農産物から副産物を製造したりすること等は東ティモールにおいても実現可能なことが伝わったと同時に、他国では農家組合が雇用創出や生命保険の提供を行っていること等については参加者にとって大きな驚きだったようです。

アイナロ県の農家組合のメンバーで、国産米を生産しているミランド氏(33歳)は、「今回の会議で農家組合の組織構造などこれまで知らなかったことを学ぶことができました。私達の農家組合は組織構造が不明瞭で農家の関与が十分でない等の問題を抱えていますが、明確な組織構造や優れた管理能力を持つことができれば、それらの問題を解決できることを学びました。」と説明してくれました。

またラレイアの農家組合の女性メンバーであるリタ氏(33歳)は「新しい農家組合のメンバーとして、農家組合の運営について多くのことを学ぶことができました。ラレイアはコメの生産地であり、将来JAおきなわのようにコメ粉やポップライスのような副産物を生産したいです。そうすることができれば私達の女性グループも多くの利益を生むことができると思います。」と語ってくれました。

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チャクブ組合の活動について説明するディアマンティノ組合長。

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JAおきなわについて説明する廣中専門家。

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チャクブ組合の国産米販売場を訪れる人々。

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アイレウ県の農家組合によって製造されたブランデーを試飲するエスタニスラウ大臣。

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エスタニスラウ大臣にプロジェクト活動について説明する丹羽チーフ。

【画像】本会議に参加した農家組合、国際協力機関及びMAFの代表。