【第30号】マリアナの農家が灌漑施設の維持管理に係る伝統的な慣習法を実施!

2018年3月2日

これまでマリアナの灌漑水路の下流域に位置する圃場には、ペットボトルやナイロン袋、ガラス片等のゴミがたまり、ガソリンやオイル等が灌漑水路に不法投棄されていることがありました。その結果、灌漑用水は汚染されるとともに、圃場の稲の生育は阻害され、圃場に投棄されたガラス片で農作業中にケガをする農家が少なからず存在しました。このような状況を改善して、灌漑施設の適切な維持管理を行うことを目的として、マリアナの人々は「タラバンドゥ」と呼ばれる伝統的な慣習法を実施しました。

このタラバンドゥによる活動は、主にライフン村、リタボウ村及びラホメア村の3村で実施されますが、マリアナIの灌漑受益者であるホルサ村とオドマウ村の人々もその実施を義務付けられています。

リタボウ村の村長であるマクシミアノ・ドス・サントス・アラウジュ氏(46歳)は、「タラバンドゥはそれを守らない人々に罰則を与えるだけでなく、地域住民の灌漑施設の維持管理に係る意識の改善のために実施されたのです。」と語りました。マクシミアノ氏は、タラバンドゥの導入によって地域の人々が灌漑施設の維持管理に係る意識を徐々に持ち始めて、ゴミの投棄による環境汚染について十分理解することを望んでいます。

ライフン村の農家であるジュアウン・ベルタエ・バレト氏(63歳)は、タラバンドゥを守らない人々に罰則を与えることを決定した村の人々に感謝しました。ジュアウン氏は、灌漑水路に投棄されたプラスチック袋を自ら回収して、他の農家も自発的にゴミを拾い始めることを待ち望んでいます。またオドマウ村の別の農家であるマリウ・ド・カルモ氏(39歳)は、「灌漑施設がなければ、コメを生産することが困難なので、同施設の維持管理は我々農家の仕事の一部なのです。」と述べ、マリアナIの灌漑施設を利用する他の農家にも同施設を適切に管理するよう呼びかけました。

プロジェクトは、今後もこのような農家自身による灌漑施設の維持管理に係る自発的な取り組みをファシリテーターとして促し、近い将来彼らが主体的に灌漑施設の維持管理に取り組むことができるよう支援していく予定です。

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タラバンドゥの実施地域を示す掲示板。

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マリアナIのタラバンドゥの実施地域。

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タラバンドゥの実施地域で灌漑施設を清掃する農家(1)。

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タラバンドゥの実施地域で灌漑施設を清掃する農家(2)。

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清掃後のマリアナIの灌漑水路。