エルサルバドル教員のポテンシャル その2

2019年5月9日

エルサルバドルでは、各県教育事務所の研修運営能力の高さに驚かされます。5月8日を中心に全国で実施された教員振り返り活動では、基本的に実施形態については各県の創意工夫に任せています。今回は何千名といった教員が各県で参加する規模となり、また、導入研修時のようにサイクルや学年で日程が分かれていないこともあり、会場やファシリテーターの確保が大変になることが予想されていました。しかしながら、各県創意工夫し、それぞれの事情に合わせた形態での実施がみられました。例えば、サンタアナ県では導入研修時よりも会場数を増やし、サイクルや学年ごとなどファシリテーターの数によって柔軟に編成したほか、事情が異なる複式学級の教員達で1セクションを編成し、より教員のニーズに合った振り返り活動ができるように配慮されていました。カバーニャス県でも特に事情が異なる1人の教員で全学年を担当する複式教員達で1セクションを設けていました。加えて、急なファシリテーターの欠席などにも臨機応変に対応し、代理を立てたり、自らファシリテーターとなったりと、柔軟な対応がみられました。

ラウニオン県では県教育委員会の教科指導主事が中学校の数学、社会、国語の教員振り返りをファシリテートしていました。数学教員からは中学校であっても文章読解力に課題がみられ、教科書を理解できない生徒が多くいるとのコメントが寄せられました。そこで国語の教員から「読書キャンペーンを実施しよう。」との意見が出されました。ここで指導主事はそのアイデアを広げ「それではこの地区全体で読書キャンペーンを実施しよう。具体的には、朝の15分を読書の時間と定め、学校全体、地区全体で読解力を向上させよう。」との話し合いがなされました。教科を跨いだ教員間、学校全体で協力して学力向上に取り組み姿勢が少しずつみられ始めた瞬間です。

今回、どの教員振り返り会場に行っても目に付いたのは、子どもたちの姿。これまでは同活動の日に生徒が登校することはありませんでしたが、今回は授業数確保のため、数学以外の教員は通常授業をすることとしていました。この指示を守るのは学校のオペレーションが煩雑になり、休校にする学校が多いだろうと見立てていたのですが、見事に予想が外れました。これがエルサルバドルのポテンシャルの高さです。

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1人で全学年を担当するスーパー教員による経験共有の話し合いの様子。カバーニャス県。教材があり本当に指導が楽になったとの意見が寄せられました。

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自らファシリテートするラウニオン県指導主事。専門の国語の指導経験を活かし、読書キャンペーンを提案してくれました。