ヒト免疫不全ウイルス(HIV)研究のための研修(ガーナ)

2017年9月13日

2016年のガーナ国の後天性免疫不全症候群(AIDS)感染率は、2014年(1.6%)と2015年(1.8%)の感染率と比較すると2.4%と高くなっており(2016年HIVセンチネルサーベイランス報告書)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)/AIDSはガーナ国においていまだ重要な保健課題です。

私たちのプロジェクトの一つの柱であるHIV研究では、HIV感染者と健康な人の血液および糞便を採取し、ヒト白血球型抗原(Human Leukocyte Antigen; HLA)と腸内細菌叢(注)を調べ解析することで患者ごとのHIV感染の病態進行のしやすさとその複合要因を特定し、AIDS発症に至るプロセス理解とその予防につなげることを目的としています。プロジェクトではウエスタン州コフォリドゥア周辺の7つのコミュニティを対象に100人のHIV感染者と300人の健康な人の血液および糞便の採取およびその比較解析を目指しています。

そのためにまず「あなたの健康状態を知ろう!(Know Your Status:KYS)」キャンペーンを通して健常者の研究に協力してくれる人を募ることを計画中です。KYSキャンペーンでは、無料の健康診断(身長、体重、血圧、血糖値、及びB型肝炎感染、HIV感染の有無)を行い研究対象にマッチする人を探し協力を依頼することを想定しています。

KYSキャンペーン開催に向けて、去る8月21〜25日の5日間、コフォリドゥアにおいてKYSキャンペーンに協力をしてくれる7つのコミュニティの保健医療施設のスタッフを招聘し研修を実施しました。研修には研究内容、糞便の取り方、協力者への登録の依頼の仕方などが盛り込まれ、糞便の取り方ではどのように汚染させずに便を回収できるかなど活発な議論が行われました。また、協力者の登録については、参加者がロールプレイ(役割演技)を通してどのように登録をお願いするかなど全員でいろいろ意見が出されていました。また、参加者の個人情報の漏洩を防ぐための倫理面における講習も行い、参加した医療スタッフに情報管理の重要性についての理解と認識を共有することができました。

(※KYSキャンペーンは9月下旬から10月にかけて実施)

(注)腸内細菌叢:腸内に常在する細菌の集団で、数多くの種類の菌がバランスを保ちながら生息している。このバランスは人の健康を左右することが知られている。

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HIV研修風景