短期専門家による下痢症サーベイランスのフォローアップ調査の実施

2019年8月31日

2019年8月

プロジェクトでは、ガーナ国における疾病サーベイランス体制の強化を進めるとともに、そこで発生する感染症罹患患者から腸内細菌叢解析を並行して進め、感染症発生の原因病原体の判別や、現地での喫緊の課題である感染症の基礎的情報の収集を進め、感染症の制御を目指した取り組みを行っています。長期専門家とガーナ側カウンターパートによるガーナにおける感染症サーベイランスシステムに関する現状や問題、課題等の情報収集をもとに、2017年6月からグレーターアクラ州のガウエスト郡をモデルサイトとして下痢症の病原体サーベイランスの確立を目指した活動を計画、5か所の医療施設を病原体サーベイランスのセンチネル・サイト(プロジェクトの対象施設)として選定し、活動をスタートさせました。開始してまもなくの2017年11月には、進捗状況の確認、課題の洗い出しのため評価調査を行い、出てきた提言に沿って、その後の活動を展開してきました。

2019年8月には、前回の調査からの進捗状況の確認、課題を特定をするために、再び短期専門家によるフォローアップ調査を実施しました。短期専門家は、2週間にわたり、野口記念医学研究所(NMIMR)、ガーナ・ヘルス・サービス(GHS)、国家リファレンス研究所(NPHRL)、グレーターアクラ州保健局、ガウエスト郡保健局、5か所の医療施設の関係者へのインタビュー、データ分析を行いました。その結果、検体取得数は大幅に上がり、検体採取割合は日本に比べても高いということがわかりました。また検体採取、検体保存、検体搬送はプロジェクトの支援を受け、順調に行われると共に医療施設などの担当者のモチベーションの向上、主体性をもった患者への啓発が見られました。更にガウエスト郡保健局でのサーベイランス週報の作成が行われるようになるなど郡保健局スタッフのモチベーションの向上も見られました。一方でNPHRLの検査スキル不足や施設内、施設間の情報共有、データ管理、解析に関しての課題も見え、今後のプロジェクト活動の中で支援していくことが明確になりました。これらの提言を受け、プロジェクトでは引き続き、下痢症の病原体サーベイランス体制の確立に向けた支援していきます。

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プロジェクト関係者との会議の様子

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ガウエスト郡の医療施設でのインタビューの様子