11郡における社会・行動変容コミュニケーション(Social and Behavioral Change Communication:SBCC)活動計画策定のためのワークショップ開催

2021年4月30日

社会・行動変容コミュニケーション(SBCC)とは、個人・グループにおけるコミュニケーションやメディアなどのコミュニケーション手法を用いて、対象となる人々に対象となるメッセージを伝え、望ましい健康行動を促進するアプローチです。
プロジェクトでは、母子手帳の普及を通じて母子継続ケアを推進しています。母子継続ケアは、保健医療施設だけでなく、家庭や地域でも実施、推進されることが重要です。そこで、アシャンティ州重点11郡を対象に、家庭や地域でも母子手帳をより有効に活用して適切な母子のケアを継続できるよう社会・行動変容コミュニケーション(SBCC)戦略と活動計画を立てるためのワークショップを開催しました。

ワークショップは、4月28日、29日の2日間にクマシ市内のホテルで開催され、ガーナヘルスサービス(GHS)家族保健局局長、副局長(栄養)はじめ母子手帳推進のナショナルファシリテーターやGHSヘルスプロモーション局副局長、アシャンティ州州保健局局長、州栄養士、州ヘルスプロモーション担当、JICA専門家などが講師として、また、11郡各郡から郡保健局長はじめ郡ファシリテーターなど4名ずつが参加者として、合計63名がワークショップに参加しました。

コフィ・イサGHS家族保健局長、エマニュエル・ティンコラン・アシャンティ州州保健局長、両局長は、コロナ対策と並行しつつ困難な状況ではあるが、11郡ではすでに1000名のヘルスワーカー研修と共に、母子手帳や関係機材の供与などの母子継続ケア推進のために多くの投入を行っていることから、この機会を多いに活用して成果を出し、州内の他郡や州外にも、母子手帳を有効活用したモデルを示すことができるよう、意欲をもって取り組むよう11郡チームを励ましました。また両名は、コロナ禍では、より多くの優先課題がある中、各郡の郡保健局長のリーダーシップと意欲が重要であることも強調され、11郡の郡保健局長を激励しました。萩原チーフアドバイザーは、コロナ禍で困難な状況においても母子手帳を有効活用して母子継続ケアの推進に尽力するアシャンティ州、11郡に感謝の意を伝えるとともに、11郡では更に住民との協働体制を強化して、母子手帳を有効活用した母子継続ケアを推進して、国内外にも紹介できるよう好事例を示して欲しいと、州保健局と11郡チームに呼び掛けました。

ワークショップでは、GHSヘルスプロモーション局副局長メイベル・アサフォ氏がSBCCの理論や、コミュニティを巻き込んだ母子継続ケアの推進などを、家族保健局副局長エシ・アモアフル氏が栄養カウンセリングサービスのコンセプトなどを、丁寧に説明しました。州栄養士オリビア・ティンポ氏は、ベースライン調査や現状調査の主な結果を報告し、州や郡での課題を浮き彫りにしました。萩原CAは、参加者全体演習において問題分析(根本原因分析)作業を支援し、郡別のグループワークの作業の流れ、期待される成果品の報告様式などを説明しました。

11郡の郡保健チームは、ベースライン調査などのデータや州郡が持つ保健データを用いて、各郡における母子保健、栄養の課題分析を行い(問題分析)、課題解決のために必要とされる介入、特に住民や家庭ができる行動を見出し、その行動を推進するため、「誰を対象に」「いつ」「どこで」「どのような」メッセージを伝えるべきか、SBCC計画を策定しました。11郡チームは、宿泊型研修の利点を活かし、夜遅くまで作業を続け翌日2日目には、すべての郡がSBCC活動計画を発表しました。男性の巻き込みや、地域の有力者からの協力を得るための方策、産前健診への受診をためらう妊婦への有効な働きかけなど、地域全体で母子継続ケアを推進するために鍵となる活動がいくつも提案されました。ワークショップ終盤には、齋藤専門家が、プロジェクトにて支援できる活動項目や、プロジェクトに対する報告様式など、実施上の注意点を説明しました。

11郡は、ワークショップで作成したSBCC活動計画を地域保健委員会になどで更に内容を検討し、アシャンティ州とプロジェクトに提出する計画です。プロジェクトで支援できるSBCC活動の実施期間は限られているのですが、11郡がチームワークを活かして母子継続ケア推進のための住民を巻き込んだ活動を開始することを支援できればと期待しています。

【画像】SBCC戦略・計画策定ワークショップの参加者集合写真

【画像】郡保健チームによるグループワークの様子

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郡保健チームによるSBCC活動計画の発表

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郡保健チームによるグループワークの様子