ヨルダン再訪記

2017年1月20日

研修管理担当 井本敦子

6年ぶり、3回目のヨルダンでの仕事である。アンマン・クィーンアリア国際空港に降り立つや、立派な空港ビルに生まれ変わっており、違う国に来たかと思った。それでも広い空港を通りぬけ、タクシーに乗ると、昔と変わらない土漠の風景が続く。首都アンマンの市街に入ると、新しく建った高層ビルが目につく。車の数も増え、渋滞が著しく、他の途上国と同様に都市化が進んでいる。
今回は、本プロジェクトの短期専門家として、保健省のスタッフ研修に関わる業務を担当する。JICAがヨルダンで最初に家族計画・リプロダクティブ・ヘルス分野のプロジェクトを開始したのは、1997年ヨルダン南部に位置するカラク県の貧しいゴールサーフィ地域だった。その後、プロジェクトは第2フェーズで対象地域をカラク県全体、第3フェーズでヨルダン南部全域へと拡大し、今回の新規のプロジェクトは、北部を対象とするもので、足掛け20年近く、息の長い支援が行われている。私はこのプロジェクトの第2フェーズ、第3フェーズに参加しており、縁あってこの歴史あるプロジェクトに再度参加する機会に恵まれた。カウンターパート機関である保健省のリプロダクティブ・ヘルスセキ連部署には、前プロジェクトで共に働いたスタッフが何人か残っており、懐かしい再会に互いに喜びあった。
今回かつての同僚たちと業務を進める中、印象に残ったことがある。この新しく始まったプロジェクトに対する真摯な思いと成功への期待である。その根底には、彼女たちがJICAとともに2人3脚で実施した南部での先行プロジェクトに対しての、自信、達成感、そして、何より強い誇りがある。彼女たちが、今回の対象地域である北部の保健省のスタッフや本省関係者に対し、南部のプロジェクトの活動について誇らしげに、自信をもって説明している姿をしばしば見かけた。彼女たちがそれほど強い思いを抱いていたとは、当時は全く思ってもいなかった。あの頃からそう思っていたが私が気付かなかっただけか、あるいは、時を経て様々な経験をして至ったのか。次回の派遣時にぜひ聞いてみたい。いずれにせよ、彼女たちの熱い思いに触発され、自分の背中を押された気分だった。周辺国で混乱が続き、ヨルダンはその安定を保つための更なる努力をしなければならない状況であるが、できる限りこの国に関わっていきたいと思った。

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スーパーバイザー会議(11月7日アンマンの保健省にて)

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リプロダクティブ・ヘルス研修において、乳がん触診の演習中。(11月16日イルビッドにて)

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リプロダクティブ・ヘルス研修において、授乳方法について指導するカウンターパート。(11月24日マフラックにて)