村落保健センターへのスーパービジョンが実施されました

2017年3月30日

1年次に村落保健センター(VHC)で働く看護師、助産師に向けて、家族計画サービス、妊産婦健診、産後健診、乳幼児ケア等のさまざまなリプロダクティブヘルスサービスのための研修が行われました。その結果、家族計画全般のカウンセリングやピルとコンドームといった避妊具が村落保健センターでも提供できるようになり、村落部の人々もリプロダクティブヘルスサービスが地元で利用できるようになりました。研修を受けた看護師・助産師たちは、新しいサービスをそれぞれの村落保健センターで提供するだけでなく、手作りのポスターを作って広報活動を行ったり、上位機関であるリファー先のプライマリ保健センターの助産師たちと協力して、送り出しや受け入れの関係を強めるなど、多くの人々に村落保健センターが利用してもらえるよう、様々な工夫を自主的に行っています。

プロジェクトの中間地点となる2年次の立ち上がり時(3月)に、カウンターパートとプロジェクトメンバーは14の対象重点村落保健センターを全て回り、スーパービジョン(巡回型指導)を行いました。最も特筆すべき点は、対象の3県とも、県保健局の母子保健課の努力で、限られた保健人材を村落保健センターに優先的に配置する配慮がなされていたことです。14か所のうち、3か所でフルタイムの助産師が、また6か所でパートタイムの助産師が派遣されるようになっていました。こうした助産師が配置された村落保健センターでは、リプロダクティブヘルスのフルサービスが提供できることになります。また予防接種のための冷蔵庫が新規に整備されるなど限られた予算の中で資機材の整備もなされていました。ここでは、いくつのエピソードをご紹介します。イルビット県のTokobol村落保健センターでは研修を受けた看護師に加え、新しく週に2回助産師が派遣されることにより、これまで提供されることのなかった母子保健サービスが開始され、避妊具等の物品も全て整っていました。ここで働く看護師は、新しいサービスが始まったことを自ら手書きで紙に書き、保健センターの入り口に掲示していました。また、デルアラ県Uma Ayash村落保健センターでも、家族計画サービスが開始されました。その他のサービスは開始されていないものの、研修を受けた看護師から冷蔵庫や体重計などの医療機材が届けば、すぐにでも予防接種や乳幼児検診を開始できると頼もしい声が聞かれ、今後のサービス拡大に期待が広がります。スーパービジョンを通して、限られたリソースの中でも研修で学んだことを早速実施している様子も見ることができ、カウンターパートや日本人専門家にとっても有意義な訪問の機会となりました。

プロジェクト支援対象のすべての村落保健センターのスーパービジョンの結果をとりまとめたところ、1年次の研修の成果が数字にも表れていました。家族計画サービスを提供している村落保健センター(全14か所)は1年次の2か所から13か所に拡大、妊産婦健診は1年次の0か所から5か所に拡大、産後健診も0か所から6か所に拡大していました。なお、これらのサービスが開始されていない村落保健センターについては県保健局と原因を特定しつつ、改善のための対応が始まっています。村落保健センターが地方部の重要なリプロダクティブヘルスサービスの拠点となる可能性と期待が高まってきています。

これらのスーパービジョンの結果を踏まえ、1年次に着手した村落保健センター運営マニュアルの改訂版を最終化させる予定です。この運営マニュアルは村落保健センターの機能や役割が明文化され、ヨルダン全国の村落保健センター業務の指針となるものです。研修の成果に加え、マニュアルの活用、そして今後実施される予定のヘルスプロモーション活動を通じて、より多くの人々に家族計画および母子保健サービスが届くことを願っています。

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さまざまな台帳、ツールを確認するスーパービジョンチーム(Mandah, Irbid)

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ヒアリングをする保健省スーパーバイザー(右前)(Maysara and Fanoush, Balqa)

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サービス管理台帳を詳細に確認するスーパーバイザー(Breiqa, Mafraq)

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アラビア語で書かれた家族計画サービス開始を知らせる手書きのポスター(Roudeh Al-Amir Mohanmed, Mafraq)