パイロットカウンティでFFS開始

2018年1月31日

2017年9月から2018年1月

1)FFSがスタート!

2017年9月、2つのパイロットカウンティの合計17カ所Farmer Field School(FFS)で始まりました。ひとつは、首都ナイロビから北東へ約150km先にあるエンブカウンティ、もうひとつはナイロビから南東へ約330km離れたタイタタベタカウンティです。

FFSはFAOとパートナー機関が、1980年代後半に東南アジア諸国へ最初に導入した参加型農業普及手法です。1990年代半ばからアフリカ諸国でも同手法が使用されるようになり、2000年代に入るとケニアの森林分野でもFFSを使った森林普及事業が行われるようになりました。

FFSは平均20~25名の農民のグループが構成され、彼らは定期的に1カ所の現場学習サイトに集まります。事前にメンバーを4つのグループに分けておき、Participatory Technology Development(PTD)と呼ばれる実験サイトにてグループメンバーで選んだ苗木や農作物等を観察、測定、記録していきます。その後、各グループがその日の結果を順番に発表し、ファシリテーターは発表内容にコメントしたり、グループの関心事について話したりしながら、グループ活動が円滑に進められるように導いていきます。本プロジェクトでは森林分野のFFSを実施しているため、今回のFFSグループの殆どが植林と農作物の組合せのアグロフォレストリー、果樹園を選択しています。植栽樹種については、プロジェクトが改良メリアを普及していくことを目的にしていたこともあり、植林活動を選んだ全グループがメリアを樹種に選んでいますが、他にシルキーオーク、鉄刀木を比較対象樹種として選択しています。森林分野のFFSは苗木の成長等に時間が掛かることから、今後1年間実施していきます。

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タイタタベタのFFSグループ(Mwaghenyi)のParticipatory Technology Development(PTD)サイトに農作物を植える準備。

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エンブのFFSグループ(Miunguri Self Help Group)の植栽したメリアの苗木の様子(植栽後約1カ月)。

2)エチオピアのJICAプロジェクトとの技術交換研修の実施(2017年9月)

FFSの開始にあたって、他国の実施状況を観察しながら新たな知識やアイディアを得て、今後のケニアのFFSの実施に役立てるために、技術交換研修としてエチオピアで実施中のJICA技術協力プロジェクト「オロミア州リフトバレー地域におけるFFSを通じた持続的自然資源管理プロジェクト」(2013年6月~2018年3月)の現場を2017年9月3日から8日まで訪問し、FFS ファシリテーターやグループメンバーと意見交換を行いました。同研修にはCADEPのコンポーネント2のメンバーの中からケニア森林公社(Kenya Forest Service)職員4名が参加しました。

エチオピアとケニアの政治や社会状況の違いからFFSの運営方法にも違いはありますが、FFSの持続性という共通課題に直面していることが分かり、両国の関係者間で活発な意見交換が行われました。

また、エチオピアのFFSファシリテーター達がオロミア州内にネットワークを形成し、苗畑などの活動を実施していると聞き、彼らの活動現場を訪問しました。ケニアでもFFSファシリテーターのネットワークの形成が一部の地域で見られますが、まだこれからどのように発展していくかが未知数です。こうした組織化は今後、ケニアでも検討していく必要があり、エチオピアのファシリテーターから現状や今後の計画について話を聞き、ケニア側の参考になりました。

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エチオピアのFFSマスタートレイナーの研修

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エチオピア(オロミア州)のFFSグループの現場踏査

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エチオピアのFFSファシリテーターとの意見交換

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エチオピア(オロミア州)のFFSサイト近くのそば粉畑

3)Field Dayの開催(2018年1月)

2017年10月~11月にFFSのParticipatory Technology Development(PTD)サイトで植えた農作物の収穫の時期を迎えたこともあり、FFSメンバーが周辺住民や関係者をPTD サイトに招いて、Enterprise Activityで定期的に記録した結果(農作物や苗木の成長な記録等)や活動現場を紹介するField Dayが実施されました。実施日、プログラムの内容、役割分担をFFSグループメンバーが事前に話し合って決めているので、各グループによって多少の違いがありますが、メンバーが一緒に同イベントを準備し、実施することでグループ内の結束が強くなり、FFSに参加していない周辺住民のFFS活動に対する関心を高めるといった狙いがあります。

最初にField Dayを実施したグループはエンブのIbutuka ‘A’ Makena Women Groupでした。2018年1月11日の朝、CADEP関係者でField Dayを訪問し、FFSメンバーから歓迎の歌とダンスを披露してもらいました。その後、メンバーはいくつかの小グループに分かれ、PTDサイトで比較実験しているトウモロコシ、豆類、マンゴーなどの農作物、苗木の種類や成長状況について小グループ毎に説明してくれました。他のFFSグループでもこうしたField Dayが実施され、最後に評価報告書が提出される予定です。

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CADEP関係者とFFSメンバーとの挨拶

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グループメンバーによるPTDサイトでの概要説明

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PTDのデータ収集の結果を紹介

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PTDサイトの一つ。鉄刀木の苗木。Muveciは現地の呼び名