キルギススッツ主催の酪農セミナー

2020年4月13日

中谷 政義(家畜飼養)

2020年2月の現地活動月例報告の通り、2月29日(土)にベクジャン農場(中核農家の1つ)において、キルギススッツ主催の酪農セミナーが開催されましたので、その概要を紹介いたします。当日の参加者は約700名で、同組合が発足して以来の大きなセミナーとなりました。生憎と、組合長のタライ氏は海外出張中で参加はできませんでしたが、留守を預かる事務局長のベクジャン氏が、企画・運営のほとんどについてしっかりと組合員をリードしており、素晴らしいセミナーとなりました。プロジェクトからは、斉藤CA初め専門家全員が参加しました(NSも一名を除いて全員が参加しました)。また、JICAキルギス事務所からも、池田さん、有澤さん、ジルディスさんが参加されました。このセミナーにおいて、木下専門家は搾乳衛生関連のデモを行い、私はサイレージ関連のプレゼンを行いました。プロジェクトの契約コンサルタントであるカルムラット獣医師が終始アシストしてくれましたので、デモはスムースに進行しました。池田さんと斉藤CAもそれぞれの立場から挨拶をしました。これだけ大きなセミナーになりますと、軽食代等でけっこう費用がかかります。その点を確認したところ、運営に係る諸経費はカントスッツがまかなったということでした。また、会場の設営や乳牛の搬送等、現場作業はジョージア研修に参加したメンバーが数日間、手弁当でやりとげたということでした。

今回のセミナー準備期間中にひとつの問題が提起されました。それは、同組合の設立年月日があいまいだったことです。ベクジャン初め現在の組合幹部は創成期のことは知りません。分かっているのはタライ氏と数名の酪農家、プロジェクトスタッフのサンジャール氏、それに私くらいのものです。そこで、サンジャール氏がタライ氏に記憶をたどってもらいました。タライ氏のお話によれば、2年前に行った「飼養管理セミナー」がきっかけだったことは間違いない、ということでした。それは、2018年10月27日、イシクアタ地区のテンチク農場で開催されたセミナーでした。同セミナー終了後、タライ氏は全参加者に向かって、「これまでのキルギスには、個々の酪農家がひとつになれるような組織がなかった。今日、せっかく皆で集まって語り合えた良い機会だから、これを機会に組合のような形にして継続的に集まろうではないか」と発案したことがきっかけだったということでした。後日、組合総会の折、タライ氏はベクジャン氏に、この日を「創立記念日」と定めようという指示を出したわけです。このように大きな酪農セミナーはキルギスでも初めての試みでした。きっかけは当方のプロジェクト活動にあったわけですから、これについても大きな成果のひとつと言えるのではないでしょうか。

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会場となったベクジャン農場に集結した参加者たち。正面の横断幕は、ジョージア研修のドキュメンタリーフィルムを制作した酪農家(バキャット氏)のデザインによるものである。

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牧場内には、展示コーナーも設けられて、飼料メーカーや機械メーカーが自社品の売り込みに励んでいた。

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組合員が自慢の牛を搬入して参加者に披露していた。

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プロジェクトで導入されたばかりのバルククーラー

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来賓挨拶中の獣医検査院院長カルス氏

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来賓挨拶中のチュイ州副知事エルキンベック氏

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JICAの池田さん、プロジェクトの斉藤CAもそれぞれの立場から挨拶を行った。

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私はビシュケクスッツ社社長カハベール氏とともに、”よくがんばった”ということで感謝状を授与されました。中央はベクジャン氏。

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キルギススッツ発足のきっかけとなった飼養管理セミナーの記念写真(2018年10月28日)

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個々で頑張るよりもグループになって発言権を強めようではないか!というタライ氏の提案に挙手で答える参加者 (2018年10月28日)。

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セミナーの中で、トレボン氏(当時、ビシュケクスッツに勤務)が簡易型生乳検査機器を使って生乳の成分検査をデモ中(2018年10月28日)。