本部とラオス事務所を繋いで新教科書の原稿執筆をリモート指導

2020年7月6日

ラオス政府とJICAは2016年より「初等教育における算数学習改善プロジェクト」を実施し、教科書・指導書開発や教員養成校のカリキュラム改訂と教材開発、現職教員の研修を通じて小学校の算数教育の質の改善に取り組んでいます。

ラオスの学校のいま

ラオスでは新型コロナウイルス感染拡大防止のための約2か月間の休校期間を経て5月から学年ごとに学校が再開しました。

遠隔での新教科書執筆指導

ラオスでの学校の再開を受け、日本人専門家が渡航できない状況下でもプロジェクトの活動を実施していくための施策が必要となっています。そのため遠隔で活動の準備指導や研修の実施を行うなど、プロジェクトの活動を止めないように工夫を凝らしています。

通常は毎年6月・9月・12月に、ラオス教育スポーツ省の職員を日本に一週間招聘して新教科書原稿の執筆研修を行っています。今年の6月は招聘ができなかったため、初めてJICAのTV会議システムを利用し、本部とラオス事務所を6月16日から7月1日まで計7回繋ぎ、遠隔でのワークショップを実施しました。ワークショップではまず初日に専門家が今回執筆する各単元の内容を解説し、各研修員に原稿を書いていく上での注意点や特に丁寧に考えるべき箇所について説明します。その後研修員は各々担当する単元の執筆を開始し、進捗状況に合わせて内容の検討や質疑応答、最終化に向けてのきめ細かい協議を行いました。初めての試みということもあって通常より倍の時間がかかりましたが、無事に原稿を書き上げることができました。

研修員一同を日本に招聘して原稿執筆を行うことの利点のひとつに、短期間で原稿を書き上げるための集中しやすい執筆環境が整っていることがあげられます。そのため、今回のワークショップ期間中はJICAラオス事務所でTV会議部屋とは別途作業部屋を準備し、日本での研修さながらの環境づくりの再現に取り組みました。自分たちのオフィスを離れることで他の業務で邪魔が入ることもなく、研修員一同作業に集中することができて良かったとの声が挙がっています。

一方、十分時間に余裕を持って組んだはずのスケジュールが予定通りに進まず、期間を延長せざるを得なくなるなど、予想外の出来事も起こりました。従来の本邦研修では常に3名の講師に1名ずつ通訳を配置し、複数の研修員が並行して指導を受けられるよう効率的な運用体制をとっています。今回のリモートワークショップでは一つずつ作業をこなしていく必要があったため、従来と比べて作業に時間がかかりました。しかし、他の研修員が担当した単元についても全員で読み合わせながら改善方法について一緒に考える、専門家のアドバイスを聞きつつメモをとるなど、通常時より時間をとって丁寧に指導を行えたことも今回の収穫です。

日本人専門家が不在の中なるべくコロナ前と変わらない技術支援を届けられるよう、他の活動についても引き続き遠隔での指導方法について検討していきます。

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TV会議中の指導の様子(右がラオス事務所、左が本部)

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感染予防を徹底してTV会議に臨む日本側

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通常の研修時同様、ホワイトボードを使って解説する日本人専門家