48.Monthlyハイライト

2021年6月2日

2021年5月

ラオスでは約1年ぶりに新型コロナウイルスの市中感染が4月に報告されて以降、5月末時点で収束する様子は見られません(4月30日時点の累計757名、5月31日時点の累計1,912名)。4月22日から実施されているロックダウンも2回延長され、6月4日までとなっています。その間、専門家チームは在宅勤務、ラオスカウンターパートメンバーも交代制で必要最小限の事務所勤務に留めており、プロジェクト活動の大きな制約となっています。

5月の主なプロジェクト活動は以下のとおりです。

a.園田圭佑専門家帰任、石川智一専門家着任

2018年5月21日からチーフアドバイザーとしてMaWaSU2を主導してきた園田圭佑専門家が任期を満了し5月27日に日本へ向けてラオスを発ちました。ロックダウンのためプロジェクト実施責任機関(DWS)への帰国挨拶は最小限の参加となりましたが、3年間ラオス水道セクターにおいてカウンターパートと培ってきた素養はプロジェクト後半でも引き継がれていきます。後任には園田専門家と同じ水道事業体のさいたま市水道局から石川専門家が派遣されています。

b.Output2:パイロットプロジェクト1.5バッチプロポーザル提出

前号でお伝えしたパイロットプロジェクト1.5バッチのプロポーザル提出が5月28日に締め切られました。応募条件を満たす浄水場がない県や中国とラオスを結ぶ高速鉄道駅周辺開発に注力する県などプロポーザルを提出しなかった県もありましたが、最終的に18都県中14県からプロポーザルが提出されました。提出期限ぎりぎりまで書き方を確認する県があるなど資金獲得への熱意が伝わるとともにプロポーザル作成に試行錯誤している様子が伺えました。プロポーザルフォーマットはラオス公共事業投資申請と同じフォーマットなので、今回培った経験・知識を毎年実施される公共事業投資申請に活用してもらいたいと思います。6月中の実施県選定を目指して審査を進めます。

c.Output2:パイロットプロジェクト・ボリカムサイ県施工準備

パイロットプロジェクト第1バッチ実施県として選出されているボリカムサイ県は、2020年4月新型コロナウイルス拡大に伴い専門家チームが日本に避難一時帰国したこともあり、事業実施が大幅に遅れていました。2020年終盤に専門家チームがラオスに再赴任し、詳細設計の再確認を含む事業計画の見直しを経て施工業者選定が進められていました。1)取水(井戸採掘)・浄水タンク設置と2)貯水槽設置・配管敷設の2つから構成される工事のうち、5月に1)取水(井戸採掘)・浄水タンク設置業者の選定・契約が締結されました。2)貯水槽設置・配管敷設業者選定の目途もつき、今後水道施設整備工事を通じてボリカムサイ県水道公社メンバーへ施工監理の能力向上に取り組みます。

d.Output4:水質測定機器マニュアル作成

水質管理フレームワークを実現するために供与する水質測定機器HACH DR1900の検査マニュアル作成が分科会SC5(水質)メンバーによって進んでいます。実機を用いて分科会メンバーが検査マニュアルを作成し、水質管理全国セミナーやMini workshopで講師として教えることを通じて機器の使い方やマニュアル作成方法の理解が深まり、能力が向上することを目指しています。

e.新型コロナウイルス対策特別枠事業

カムアン県とサイソンブン県で新型コロナウイルス対策事業をMaWaSU2で実施することになりました。カムアン県は「タケク上水道拡張計画」無償資金協力事業のフォローアップ、サイソンブン県はパイロットプロジェクト第1バッチ復活事業です(サイソンブン県は選考で3位に選ばれたものの安全措置上の理由から実施県から除外されていましたが、水道公社のこれまでの工事の実績やパイロットプロジェクトの第一バッチでサイソンブン県水道公社から施工監理支援員を派遣し施工監理能力を高めた点を考慮し今回の実施に至りました)。パイロットプロジェクトで試行している工事ガイドライン・マニュアルを用いることにより更にレベルが向上した施工監理を目指します。そして、これらの実績がラオス標準として採用されるようMaWaSU2で取り計らっていきたいと思います。

f.MaWaSU2 3周年

MaWaSU2プロジェクトは5月21日に3周年を迎えました。1年目はルアンパバーン県水道公社のカウンターパート(CP)と盛大に祝うことができましたが、2年目は専門家が新型コロナウイルスの影響で日本に避難一時帰国していました。3年目はラオスに再赴任できたもののロックダウンで在宅勤務。4周年は是非ともCPと一緒に祝えることを願ってプロジェクト活動を進めていきたいと思います。

【画像】a-1 園田チーフアドバイザー(中央右)DWS帰任報告(右から2人目は石川チーフアドバイザー)

【画像】c-1 ボリカムサイ県水道公社とのオンライン会議の様子

【画像】

d-1 HACH DR1900検査マニュアル(ドラフト)の一部