52.Monthlyハイライト

2021年9月7日

2021年8月

2021年4月から実施されている新型コロナ対策措置は緩和されながらも8月中も継続されました。感染対策を講じて全国展開Mini workshopを北部、中部で開催できましたが、感染が拡大する南部は開催できず延期となりました。他の活動とスケジュールを入れ替えるなど柔軟にプロジェクト活動を進めています。

8月の主なプロジェクト活動は以下のとおりです。

a.丸山伸孝専門家始動

2021年8月1日にラオスへ到着し、14日間の隔離を終えた丸山伸孝専門家(水道技術/施工監理)がプロジェクト事務所で業務を開始されました。Output2の活動を中心に他のプロジェクト活動と連携しながら水道施設整備にかかる能力向上を指導します。早速、パイロットプロジェクト1.5バッチ実施県であるシェンクアン県を視察したり、Output1:水道開発基金プロポーザル概要説明会に出席したり活発に活動を始めています。

b.Output1:水道開発基金プロポーザル概要版説明

コンサルタント専門家(西牧専門家(有限会社エクシディア社)/井上専門家(A.I. NETWORK))によって作成された水道開発基金のプロポーザル概要版を8月25日に石川チーフアドバイザーから公共事業運輸省(MPWT)・水道局(DWS)へ説明しました。概要版とはいえ、基金の必要性・コンセプトから政府関連機関の役割と責務、資金源、運用方法や評価方法、財務シミュレーションまで多岐に亘り、かつDWS通常業務では接しない分野も多いため、時間をかけて理解することが必要です。9月にはコンサルタント専門家からの説明も予定されており、理解が深まることが期待されます。

c.Output2:パイロットプロジェクト第1バッチ・ボリカムサイ県現地監督

ボリカムサイ県でのパイロットプロジェクト(新規水道施設整備)工事が進んでいます。配管敷設工事の中間検査のため8月4~6日、また、全国展開Mini workshopに合わせて8月20日に現地を訪問しました。全長3,200メートルの配管は8月中にすべて敷設工事が終了し、水圧テストが開始されています。同時にパイロットプロジェクト全体の中間報告もボリカムサイ県水道公社によって準備が進められています。中間地点までの竣工図、工事安全・品質・出来形管理のためのチェックシート、工事写真・アルバム作成、資材管理表記帳などパイロットプロジェクトで導入した資料が提出される予定です。

d.Output2:パイロットプロジェクト第1バッチ・ポンサリー県完了間近

ポンサリー県でのパイロットプロジェクト(老朽管更新)工事が完了間近です。8月8~11日に現場を訪問した際は、最後の消火栓の設置と水圧テストを視察しました。新設浄水場に更新管を接続し24時間給水を目指していましたが、新設浄水場の完成目途が立たないため既設浄水場に仮設管を設置して工事は完了です。竣工図、工事安全・品質・出来形管理のためのチェックシート、工事写真・アルバム作成、資材管理表記帳などパイロットプロジェクトで導入した資料が提出されればパイロットプロジェクトは完了です。その後、ポンサリー県水道公社は独自に給水管の付け替えを進めていきます。さいたま市草の根事業と連携し、同事業で作成している給水管接続マニュアルを共有してもらい工事品質の向上を試みます。

e.Output2:パイロットプロジェクト1.5バッチ現地訪問(シェンクアン県)

プロポーザルで選定されたサラワン県、シェンクアン県、サワンナケート県のうち、シェンクアン県クーン郡を8月22~24日に訪問しました。クーン郡は第1次、第2次インドシナ戦争で全壊するまでシェンクアン県の県都として栄えた街であり、中心に爆撃を受けた石仏が崩れかけた状態のまま保存されているワット・ピアワットがある、給水人口6,500人規模、浄水能力920m3/dの穏やかな街です。主な水源は近くを流れる湧水のナムレム川で、水量が少なくなる乾季は表流水(ナムギエップ川)からも取水します。ナムレム川湧水はpHが低く、ナムギエップ表流水は採掘事業の影響で水質が不安定になったりするようです。そのため自動薬注装置の設置には大きな期待がかけられています。一方、給水区域内の水質検査は水圧検査とともに合計16ヶ所設定されており、また、これまでにクーン郡で水道教室の開催実績もあり、自動薬注装置設置後の水質検査や広報は基盤が整っている状況です。

f.Output4:全国展開Mini workshop(水質管理)開催

7月に開催した水質管理全国セミナーを受け、8月第2週に北部(7県参加)、第3週に中部(5都県参加)において、ラオス水道協会主催のMini workshopを開催しました。水質担当実務者グループはMaWaSU2で供与した多項目測定吸光光度計(HACH DR1900)を中心に合計19項目の水質測定方法を講習しました。水道公社管理職者グループは水質分野の人材確保や水質測定機器の試薬の共同購入などについて意見交換を行いました。南部(6県)は開催予定県であるサワンナケート県で新型コロナの感染拡大が懸念され残念ながら延期となっています。

g.MaWaSU2・さいたま市草の根事業連携会議開催

MaWaSU2と並行してさいたま市はJICA草の根技術協力事業「水道公社における上水道管路維持管理能力向上支援事業」を実施しています。配水管・給水管施工の運営管理体制の改善や施工基準の確立、材料の適切な選定と管理を中心にMaWaSU2のパイロット水道公社と同じ首都ビエンチャン、ルアンパバーン県、カムアン県水道公社を対象として支援が進められています。MaWaSU2パイロットプロジェクト(Output2)とも関連する支援内容であるため、双方の成果や好事例を取り入れるために8月18日に連携会議を開催しました。パイロット水道公社内ではすでにMaWaSU2とさいたま市草の根事業の活動は浸透している様子が伺えました。今後の連携の枠組みとしては、さいたま市草の根事業の活動を促進し、成果や好事例を水平的にMaWaSU2で全国展開することを想定しています。

参考URL:

【画像】a-1 丸山専門家からCPへ向けたメッセージ(ラオス語に翻訳しWhatsAppを利用して共有)

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a-2 シェンクアン県浄水場を視察する丸山専門家(中央)

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b-1 水道開発基金プロポーザルの概要説明をする石川チーフアドバイザー(中央右)

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c-1 ボリカムサイ県において配管中間検査を行う野澤専門家(手前)

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c-2 水圧テストの様子(ボリカムサイ県)

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d-1 水圧テストの様子(ポンサリー県)

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d-2 消火栓設置準備の様子(ポンサリー県)

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e-1 シェンクアン県クーン郡浄水場で水質検査体制の説明を受ける専門家チーム

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e-2 シェンクアン県クーン郡ワット・ピアワット

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f-1 全国展開Mini workshop(中部)集合写真

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f-2 水質測定機器使用方法講習の様子

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g-1 MaWaSU2・さいたま市草の根事業連携会議の様子(ルアンパバーン県水道公社)

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g-2 MaWaSU2・さいたま市草の根事業連携会議の様子