57.Monthlyハイライト

2022年2月2日

2022年1月

ラオスでの新型コロナウイルス市中感染は引き続き拡大を続けていますが、オンラインツールの活用や、感染対策を施して会議開催や地方出張などを実施しプロジェクト活動を進めるようにしています。
1月の主なプロジェクト活動は以下のとおりです。

a.Project MaWaSU2 Annual Report 2021開催

昨年12月から延期されていたProject MaWaSU2 Annual Report 2021を1月12、13日に少数の対面方式とオンラインを活用して開催しました。MaWaSU2として初めての全国オンライン会議でしたが、1週間前に通信確認を含めたリハーサルをするなど準備をした結果、特に問題なく議事進行ができました。対面方式と比べるとやや一方的な報告という面もありますが、所与の制約の中で十分に成功したと思います。厚生労働省とのコラボレーションであるJapan Cooperation Sessionでは東・水道計画指導室長のメッセージをはじめ、日本企業の製品紹介もビデオレターという形で行いました。各社とも興味を引くよう様々な工夫をされていたのが印象的でした。

b.Output1:水道セクター開発基金・シミュレーションツール説明会

コンサルタント専門家(西牧専門家(有限会社エクシディア社)/井上専門家(A.I. NETWORK))による水道セクター開発基金プロポーザル調査・ドラフトの過程で、現実的に基金が運用できる原資、運営経費、プロジェクト規模と数などをDWS/MPWT(公共事業運輸省・水道局)が検討するために有益な簡易シミュレーションツールを作成してもらいました。1月5日にシミュレーションツールの説明会があり、今後DWS/MPWTがさまざまな変数で検討することにより、水道セクター開発基金の準備作業をより自分たちのものとして取り組むことが期待されます。

c.Output2:パイロットプロジェクト1.5バッチ・シェンクアン県訪問

パイロットプロジェクト1.5バッチは、(1)自動薬注装置の設置、(2)自動薬注装置運転研修、(3)水道教室の実施、(4)郡レベル水質管理体制構築の4つの活動があります。1月23日~28日までシェンクアン県クーン郡浄水場に設置された自動薬注装置の試運転と運転研修を視察しました(クーン郡の詳細は「52.Monthlyハイライト」e.Output2:パイロットプロジェクト1.5バッチ現地訪問(シェンクアン県)参照)。シェンクアン県水道公社総裁による陣頭指揮で技術課長、他郡浄水場担当者も集合し運転研修の参加者は熱心にメモや写真・ビデオを撮っていました。
出張中に足を伸ばして北隣のフアパン県も訪問しました。フアパン県北部のエット郡・シェンコー郡浄水場の取水付近に土砂が堆積し、十分な水量を取水できないという問題があります。フアパン県水道公社は大使館による草の根・人間の安全保障無償資金協力に申請をして問題解決を図ろうとしています。MaWaSU2専門家チームは現地を訪問し、現状確認や問題の経緯を詳しく聞き取りました。今後もフアパン県水道公社と協議を重ね費用対効果の高い申請を助言していきます。

d.Output2:パイロットプロジェクト第2バッチ準備

4月上旬にパイロットプロジェクト第2バッチの実施説明会を企画しています。1.5バッチは調達期間などJICA側の時間の制約でMaWaSU2専門家チームが主導しましたが、第2バッチでは水道セクター開発基金の運営トライアルとしてDWS/MPWTが主導するよう準備を進めています。事務処理の遅れでDWS/MPWTのタスクチームはまだ正式に発足していませんが、重要な位置付けとなるプロポーザル評価についてOJTを行いました。プロポーザル評価はパイロットプロジェクトの目的となる(1)資金の有効活用と(2)技術的信頼性の確保を主眼に審査します。今回は(2)技術的信頼性の確保についてのOJTを実施しました。(1)資金の有効活用についての審査は1.5バッチから引き続き公共投資計画管理改善プロジェクトとも連携し、投資計画省(MPI)が統括している公共投資プロポーザル審査を活用する予定です。

e.Output4:水質分野研修コースシラバス作成研修

1月7日、11日(AM)、14日の2日間半にわたって、水質分野における研修コースのシラバス作成研修会をオンラインで開催しました。講師はラオス国立大学環境工学のペンサイ先生をお招きし、水質分科会のメンバーの他、ラオス水道協会(LWWA)研修担当者が参加しました。これまでフランスの支援で作成された首都ビエンチャン水道公社・チナイモ研修センターの研修プログラムを参考に、研修コースを3つのレベルにわけて、研修目的、対象者、研修内容などを3パイロット水道公社でシラバスを作成しました。LWWAの研修事業に結びつけ、他の分科会でも同様にシラバスを作って研修事業の充実や運営能力の向上が狙いです。初めての試みでしたが、学識経験者とも意見交換ができたことや、短い時間ながらも宿題としてシラバスを自ら作成したことで、シラバス作成手順の理解やモチベーションも高まった印象を受けました。今後は教材のアップデートと研修計画作成を他の分科会にも展開できるように考えています。

f.MaWaSU2・さいたま市草の根事業連携

MaWaSU2・さいたま市によるJICA草の根技術協力事業「水道公社における上水道管路維持管理能力向上支援事業」の連携会議が月例会議として定着しつつあります。月例会議の合間に3パイロット水道公社担当者間がZoomオンライン会議を利用して取り組んでいる管路布設マニュアル作成ガイドラインのドラフトが完成しました。引き続き、給水装置、資材管理の各マニュアルを「作成ガイドライン」という形で取りまとめる作業に取り組みます。専門家チームは、ドラフトを確認してアドバイスをしたり、更なる取り組みとしてADBとも連携して全国水道公社に供与される電子式テストメーター「TR-IV」の活用ガイドラインの素案を企画したりしています。また、MaWaSU2・さいたま市草の根事業連携に取り組んでいる3パイロット水道公社担当者の活動を水道公社幹部クラスへ紹介・報告すべく合同報告会などの企画を行っています。

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a-1 Project MaWaSU2 Annual Report 2021対面会議参加者集合写真

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a-2 Japan Cooperation Session厚生労働省 東・水道計画指導室長ビデオメッセージの様子

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a-3 Project MaWaSU2 Annual Report 2021は当日ラオス国営TVで放送されました

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b-1 水道セクター開発基金・シミュレーションツール説明会の様子

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c-1 クーン郡浄水場での自動薬注装置運転研修の様子

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c-2 クーン郡給水区域の水質検査体制構築議論は昼食時になっても継続

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c-3 フアパン県エット・シェンコー浄水場取水施設付近の様子

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c-4 フアパン県エット・シェンコー浄水場取水施設内部に入って議論する野澤専門家(中央)

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e-1 シラバス作成研修を指導するペンサイ先生(左上)と参加者

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f-1 MaWaSU2・さいたま市草の根事業連携会議の様子