62.Monthlyハイライト

2022年7月4日

2022年6月

プロジェクト活動への新型コロナウイルスの影響は限定的になってきました。行動制限によって慣れ親しんできたオンライン方式及び従来の対面方式の双方を活用し、臨機応変に全国や複数水道公社との会合、単独グループとのOJTを行っています。

6月の主なプロジェクト活動は以下のとおりです。

a.Output1:公共事業運輸省・水道局(DWS)との主な活動

・包括的制度改善戦略(OIDS)・優先課題改善戦略(PDCDS):法令等整備の現状把握、PDCDS最優先課題取り組み構成案に関する意見交換
・水道セクター開発基金(WSSDF):コンサルタント専門家による水道セクター開発基金プロポーザル調査・ドラフトを活用したDWS担当職員の理解促進
・水道戦略(WSS)・都県水道戦略(PWSS):WSS北部説明会実施済み、中・南部説明会9月開催予定、PWSS支援案DWSへの共有、県公共事業運輸局(DPWT)へのアンケート調査準備
・水道セクター年報:2020年度版最終化支援、2021年度版作成支援

b.Output2担当日下部貴章専門家赴任

MaWaSU2終了時までの間、Output2を担当する専門家をさいたま市水道局及び川崎市水道局から交代で派遣することになり、先陣の越智龍太専門家を引き継いで日下部貴章専門家が5月29日に赴任しました。日下部専門家はMaWaSU2の初年度である2018年度に土木の短期専門家としてOutput3、Output4を中心に活躍された専門家です。今回はOutput2パイロットプロジェクト第2バッチの審査において、技術面を中心に応募条件の確認を実践的に支援します。

c.Output2:パイロットプロジェクト第2バッチ・プロポーザル審査

6月15日に締め切られたパイロットプロジェクト第2バッチプロポーザルの審査が開始されました。審査はパイロットプロジェクト実施目的である(1)資金の有効活用と(2)技術的信頼性の確保に対応する形で、(1)ラオス政府公共投資に準じた論理面と(2)水道分野に特化した技術面に分かれて評価を行います。評価者はPPTT(Pilot Project Task Team)メンバーでDWSとMPI(Ministry of Planning and Investment)のスタッフから構成されています。DWSメンバーにとって論理面の評価は初めての取り組みであり、技術面においても通常業務では深く掘り下げない技術項目のようで新しい取り組みに手応えを感じながら審査を進めている様子が伺えます。

d.Output2:パイロットプロジェクト第1バッチ・ボリカムサイ県完了時訪問

ボリカムサイ県はパイロットプロジェクト第1バッチの工事完了報告書を3月に提出していましたが、COVID-19の影響により完了時の現地訪問が延期されていました。6月9、10日の行程でボリカムサイ県を訪問し、(1)1年後に実施予定の事後評価の項目、(2)パイロットプロジェクト第1バッチで使用した施工管理分野ガイドライン類の振り返り、(3)新型コロナウイルス対策特別枠で実施するサイソンブン県の施工計画書の確認を行いました。
事後評価においてもパイロットプロジェクトの目的である(1)資金の有効活用と(2)技術的信頼性の確保に基づき、提案時の裨益効果が発現されているかを確認します。今回は事後評価の概要と準備しておくべき各種データについて紹介しました。パイロットプロジェクト第1バッチで使用したガイドラインは、(1)施工計画書作成、(2)工事写真アルバム作成、(3)設計図・完成図作成ガイドラインです。第1バッチの実践者としてボリカムサイ県水道公社メンバーに、第2バッチ実施県に説明してもらうことを計画しています。サイソンブン県はパイロットプロジェクト第1バッチ・ボリカムサイ県において施工監理支援という形で工事管理やプロジェクト管理を学びました。今後、新型コロナウイルス対策特別枠・サイソンブン県を実施する際、ボリカムサイ県水道公社が施工監理支援として現地を訪問し支援します(JICA専門家は安全措置によりサイソンブン県訪問は不可)。今回はサイソンブン県が準備した施工計画書について説明・質疑応答を行いました。

e.Output4:全国データ管理セミナー開催

水道事業ガイドライン改定版が決裁されたことに伴い、6月7日にオンラインによる全国データ管理セミナーを開催しました。分科会1データ管理メンバーからは23の事業指標(Performance Indicators)の算出方法と必要なデータ項目について一つ一つ丁寧な説明がありました。議長を務めたサルムサックDWS副局長(データ管理を管轄する水道規制課を担当)は、水道公社で想像以上にデータ管理が確立していることに歓喜し、水道・衛生戦略の4つの柱のひとつである「情報・データ管理システムの整備・改善」に向けて手応えを感じていたようでした。今後は、全国水道公社のデータ管理の精度が上がるよう支援・フォローアップを行うとともにDWSの水道規制課のデータ管理能力の底上げに取り組みます。
分科会2カスタマーサービス、分科会3計画・分科会4財政、分科会5水質ではオンラインを活用して3パイロット水道公社同時にOJTを実施し活動を促進しています。

f.第4回JCC会議開催

6月15日に第4回JCC(Joint Coordinating Committee)会議を開催しました。年に一度開催するJCC会議はプロジェクトの最高意思決定会議として位置付けられています。今回は、過去1年間の活動報告に加え、1年後に実施予定の終了時評価で評価対象となる項目をPDM(Project Design Matrix)から洗い出し、最低限それらを達成すべき1年間の活動計画を発表しました。会議の最後には、JICAラオス事務所から次期案件申請についてのスケジュールも共有され、ラオス側カウンターパートにとっては新たな動機付けとなり、活動が停滞気味の水道セクター開発基金の議論や技術基準の承認プロセスの追い風となりました。

g.JOCV(Japan Overseas Cooperation Volunteers)説明会開催

JICAラオス事務所から水道分野へのJOCV派遣の打診を受け、全国水道公社へJOCV説明会を開催しました。今回は、これまでラオス水道分野のJOCV派遣実績とMaWaSU2で供与した水質測定機器の継続活用・フォローアップを期待して水質分野を選定しました。これまで4県からJOCV派遣を希望する打診が来ており、JICAラオス事務所と協力して派遣申請手続きを支援していきます。

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a-1 DWSメンバーと優先課題改善戦略(PDCDS)について協議する石川専門家(右)

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b-1 パイロットプロジェクトプロポーザル審査で応募条件の説明をする日下部専門家(左)

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c-1 パイロットプロジェクトプロポーザル審査の様子

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d-1 パイロットプロジェクト第1バッチ振り返りでコメントするVilaykhoneボリカムサイ県水道公社総裁(左から2人目)

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d-2 水道の利用を始めた住民に意見を聞く日下部専門家(右)

【画像】e-1 全国データ管理セミナー集合写真

【画像】f-1 第4回JCC会議集合写真