63.Monthlyハイライト

2022年8月3日

2022年7月

7月も新型コロナウイルスのプロジェクト活動への影響は限定的でした。引き続き、行動制限によって慣れ親しんできたオンライン方式と従来の対面方式双方を活用してプロジェクト活動を促進しています。

7月の主なプロジェクト活動は以下のとおりです。

a.Output1:公共事業運輸省・水道局(DWS)との主な活動

・包括的制度改善戦略(OIDS)・優先課題改善戦略(PDCDS):法令等整備の現状把握、PDCDS最優先課題取り組み構成案について意見交換
・水道セクター開発基金(WSSDF):コンサルタント専門家による水道セクター開発基金プロポーザル調査・ドラフトを活用しDWS担当職員の理解促進(7月小委員会2回開催)
・水道戦略(WSS)・都県水道戦略(PWSS):WSS中・南部説明会9月開催予定、PWSS支援案DWSへ共有、県公共事業運輸局(DPWT)へアンケート調査準備
・水道セクター年報:2020年度版最終化支援、2021年度版作成支援

b.Output2担当 中村宏明専門家赴任

MaWaSU2終了時までの間、Output2を担当する専門家をさいたま市水道局及び川崎市水道局から交代で派遣することになり、2番手の日下部貴章専門家を引き継いで中村宏明専門家が7月9日に赴任しました。中村専門家はMaWaSU(先行案件)で短期派遣(土木)を2回経験された専門家です。今回はOutput2パイロットプロジェクト第2バッチの審査(技術面)および選定された3つの県に対して詳細設計策定方法の支援を行います。

c.Output2:パイロットプロジェクト第2バッチ・プロポーザル審査遅延

7月末と実施要項に記載していたパイロットプロジェクト第2バッチプロポーザルの審査が遅れています。評価者であるPPTT(Pilot Project Task Team)メンバーによる順位付けは7月上旬には完了していたものの、上位機関であるPPEC(Pilot Project Evaluation Committee)への報告・了承取り付け手続きが難航しているようです。PPECは審査決裁者である水道局長へ報告・承認取り付けを行うことになりますが、あらゆる質問に対して適切な回答ができるよう準備する意向があるようです。万全を期す意向は望ましいものの、パイロットプロジェクト実施スケジュールを逸脱し審査結果を待ち望んでいるプロポーザル提出県への説明責任を果たさないのは好ましくありません。Output1の行政改善においても透明性、アカウンタビリティ、ガバナンス(TAG)の向上を目指していることもあり、専門家チームから改善に向けて働きかけていくようにしたいと思います。

d.Output2:パイロットプロジェクト1.5バッチ 3県合同報告会@サワンナケート県

2021年12月からシェンクアン県、サワンナケート県、サラワン県で本邦技術活用(株式会社トーケミ・自動薬注装置設置)を中心に実施されてきたパイロットプロジェクト1.5バッチが6月30日に完了しました。自動薬注装置設置・運転管理研修に加え、水道教室の実施、給水区域内の水質管理体制の構築を目指して、毎月1回、3県による合同報告会をオンライン、対面を織り交ぜて実施してきました。7月28日に3県代表者がサワンナケート県に集合し、パイロットプロジェクト活動の振り返りと29日にはセポン郡デンサワン浄水場・給水区域を訪問し、自動薬注装置の稼働状況、給水区域内の水質・水圧検査を実施しました。

e.Output4:水銀検査研修・検査マニュアル作成(分科会5:水質管理)

7月7日にラオス国立大学・自然科学部・化学科のペンサイ先生に依頼して水銀検査の研修会を開催しました。他の水質検査項目と比べ、検査の前処理に複数の化学薬品を使用し複雑であり危険でもあるため、水質検査機器を優先的に供与した首都ビエンチャン、ルアンパバーン県、カムアン県の3パイロット水道公社と独自に前処理機材を購入したボリカムサイ県水道公社の水質担当(分科会5メンバー)が参加しました。翌8日には研修時に撮影した写真を使用して検査マニュアルの作成を行いました。先ずは他郡浄水場・給水区域を含めそれぞれの水道公社で水銀検査が確実に行えるようにし、その後の展開として周辺県の水銀検査を引き受ける構想です。
分科会1データ管理、分科会2カスタマーサービス、分科会3計画・分科会4財政、水道協会ではオンラインを活用して3パイロット水道公社同時にOJTを実施したり、個別に対面OJTを通じて活動を促進しています。

f.新型コロナウイルス対策特別枠フォローアップ

MaWaSU2で実施することになったカムアン県とサイソンブン県での新型コロナウイルス対策事業(注1)のフォローアップを定期的に行っています。7月4~6日にはOutput4カムアン県水道公社とのOJTと並行して新型コロナウイルス対策特別枠による配管布設工事や給水装置設置現場を視察しました。サイソンブン県でも今月から工事が開始され、ボリカムサイ県水道公社の施工監理支援員とプロジェクトスタッフが現場を確認しMaWaSU2専門家によるフォローアップの補佐を行いました(注2)。
(注1)詳細は「48.Monthlyハイライト」e.新型コロナウイルス対策特別枠事業 参照
(注2)詳細は「62.Monthlyハイライト」d.Output2:パイロットプロジェクト第1バッチ・ボリカムサイ県完了時訪問 参照

g.次期案件(MaWaSU3)要請協議

MaWaSU2プロジェクトは2023年12月に終了します。期間を空けず継続してプロジェクトを実施するには、案件採択のスケジュール上2022年7月末にはDWS/MPWTから計画投資省へ要請書類を提出する必要があります。MaWaSU2専門家チームはDWS・JICAラオス事務所による協議に同席し、MaWaSU2プロジェクトの成果が2022年3月に承認された水道・公衆衛生戦略に活用されるアイディアを共有しました。2023年4月には案件採択の可否が決定され、ラオス政府へ通知される見込みです。

h.DWSとの月例会議、プロジェクト管理会議

DWSと2つの会議を定期的に開催するよう取り組んでいます。これまでも活動報告会議を実施してきましたが、都合が悪いなどの理由で参加者が限定されたり、会議が見送られたりすることもありました。DWSによる改革で、MaWaSU2活動を各課ごとに担当することになりDWSメンバーが責任感を持つようになりました。月例会議はプロジェクト活動進捗をDWSメンバーで共有することが目的です。水道公社も月例会議で報告をすることにより、より主体的に活動に取り組むことによって能力が向上したことを専門家チームは実感しています。DWSメンバーも月例会議の報告を通じて各々の能力が向上されることを期待します。一方、プロジェクト管理会議はプロジェクトマネジャーである水道課課長(Ms. Phouvanh)と前プロジェクトマネジャーでアドバイザー的な役割を担う副局長(Mr. Khanthone)、コーディネーター(Mr. Phouthong)のみで構成され、活動の進捗管理や意思決定を行います。2つの会議が機能することによりMaWaSU2プロジェクト目標の達成+その先を目指すよう努力したいと思います。

【画像】

a-1 DWSメンバーと水道セクター年報・Output4分科会1データ管理についての協議の様子

【画像】

b-1 パイロットプロジェクト1.5バッチ3県合同報告会・給水区域水質検査でカウンターパートとともに残留塩素を確認する中村専門家(右)

【画像】

d-1 パイロットプロジェクト1.5バッチ3県合同報告会・自動薬注装置の稼働状況を確認する野澤専門家(左から3人目)

【画像】

d-2 パイロットプロジェクト1.5バッチ3県合同報告会で浄水場の水質を検査するカウンターパート

【画像】

d-3 パイロットプロジェクト1.5バッチ3県合同報告会で給水区域の現場で意見交換する参加者

【画像】

e-1 ラオス国立大学でペンサイ先生(中央)の説明を受ける分科会5メンバー

【画像】

e-2 水銀検査研修終了後の集合写真(ペンサイ先生(中央)、ケシニー化学科長(右隣)ともに日本への留学経験があります)

【画像】

e-3 水銀検査研修翌日に分科会5メンバーが集合して検査マニュアルを作成

【画像】

f-1 新型コロナウイルス対策特別枠・カムアン県で現場視察の前に情報を整理する野澤専門家(中央)

【画像】

f-2 新型コロナウイルス対策特別枠・カムアン県での現場視察の様子(供与した施工安全装備品が活用されています)

【画像】

f-3 新型コロナウイルス対策特別枠・サイソンブン県での現場視察の様子(日本人専門家による現地訪問ができないためボリカムサイ県水道公社の施工監理支援員(中央)を派遣)

【画像】

f-4 新型コロナウイルス対策特別枠・サイソンブン県とのオンライン会議の様子(日本人専門家による現地訪問ができないためオンライン会議を通じて状況把握・指導)

【画像】

g-1 DWS幹部が集合してJICAラオス事務所と次期案件(MaWaSU3)の要請協議